日本語 | English

海洋国家というビジョン

Part1 まずはサンフランシスコへ

 iPS細胞の山中教授は、とにかくアメリカと比べると、圧倒的に研究費が足らないと嘆いておられます。これでは、アメリカに追い越されるのは目に見えていると言われます。二桁、三桁足らないのです。これからの医療の仕組みを根本的に変えるテクノロジー開発には、国防という意味からも、膨大な資金を投入すべきなのです。(我々の月桃研究にも金を出せ!! 自然に存在する植物でウイルスによる病気を防ぐのですから、iPS細胞と同等の医学革命ですぞ!!)
  ジョン・F・ケネディーはやはり卓越した大統領でした。アメリカ人を一つにまとめるために、実に簡単、明瞭、老いも若きも、貧乏人から金持ちまで、よほど偏屈な人間でないかりぎ賛同する、しかも健全で、国民の意気をたかめる国家的なビジョンを彼らに与えたのです。アポロを打ち上げ、月に一番乗りして、世界最高の科学技術国家になろうと。それは、ハリウッド映画のシーンのようにわかりやすく、目に浮かべられるほど鮮やかなビジョンです。あのころ、アメリカは一番輝いていました。星条旗のもとで、未来に進む健全な熱狂がありました。
 私たちもこういうビジョンを持とうではありませんか。

 先日、「日本は世界4位の海洋国家」山田吉彦著・講談社+α新書という本を読みました。それによると、日本は土地の広さからみると世界で61番目の国だが、海を入れると4位になるそうです。国連海洋法条約により沿岸から200海里(約370キロメートル)までの範囲は、「排他的経済水域」と呼ばれ、経済的な主権が及びます。言い換えれば、領土と同じようなものです。しかも、日本の周りの海は深いので、三次元的にとらえれば、その排他的経済水域を合わせると、日本は世界で4番目の広さの領土をもっていることになるのです。
   その広大な領土には無尽蔵の資源が存在します。ウランでさえも、黒潮に乗って、日本の原発に必要な500年分が毎年運ばれてきます。また、メタンハイドレート なる氷状のメタンも(右の写真はウィキペディアより)、日本の天然ガス消費量の94年分が、水深300メートルをこえる海底には眠っているのです。日本海近海には「コバルト・リッチ・クラスト」という、鉄、マンガン、コバルトを大量に含む数ミリメートルから10センチほどの厚さの薄い皮が、海山の斜面にはりついています。また、海上に 風力発電装置をつくれば、電力もふんだんにつくれます。言い換えればテクノロジーの発展によっては、日本はウラン、レアメタル、メタン、電力まで含む、超資源国家なのです。

 ケネディーが月に一番乗りして宇宙を征服しようとアメリカ国民を鼓舞したのであれば、日本人は海を征服して、世界最高の海洋国家になろうと、僕は日本人に言いたいものです。その手始めには、月ロケットアポロではなく、最新のテクノロジーを満載した巨大な探索船をつくることです。不沈戦艦大和ではない、平和利用の探索船大和なのです。それをアニメの宇宙戦艦ヤマトのように視覚に訴えるようにして、子供たちを鼓舞するのです。次の世代をになう子供たちの意識は、自然に海の開発に向きます。

 また、海洋国家として、海底巨大都市群の建設。まず、東京湾の海底に、首都を移転させることくらい計画してもいい。大阪湾の海底には、アニメ映画のハリウッドになるほどの、巨大コンピュータをフルに備えた芸術村。地上は花と緑、海底都市は水族館なみにガラス越しに魚と共生。天井を見ると水族館の下のように、さまざまな魚が泳いでいる国会議事堂。さぞかし、ユニークな政策が討論されることでしょう。暴力と奪略によって7つの海を支配した大英帝国ではなく、日本は平和なテクノロジーで7つの海を支配したいものです。それは絵空事ではなく、ちょっと意識を海に向けるだけで、十分に可能なことなのです。

 また、もっと積極的に日本文化を海外に輸出することをしなければいけません。その手段の一つとして、日本語学校の設立です。フランスのアリアン・フランセーズやドイツのゲーテ・インスティチュート、イギリスのブリティシュカウンセルのような施設を、世界中にどんどんつくることです。そこで、日本文化の紹介を頻繁に行い、また、無料で現地の人間が日本語を学べるようなシステムをつくるのです。そして、世界中の大学の日本語学科や日本学研究所にも資金援助を行い、日本語や日本文化を学ぶ学生数を増やすことです。もし、日本語学科のない大学があれば、日本語学科の新設も行うことです。

 これは、慈善事業ではなく、外交力強化のための国家戦略なのです。数多くのNPOという独立した組織が、さまざま形で日本文化普及を行っていますが、どうしても資金不足で限界があります。国家戦略には、それなりの巨大な費用がかかるのです。もう一度言いますが、日本文化普及は、国が本腰を入れて行うべき戦略であり、核に対する抑止力にさえなるということなのです。

 フランスはアラブ首長国連合のアブダビにルーブル美術館の別館をつくろうとしています。こういう文化戦略は極めて重要なのです。国際政治にうとい日本の政府は、こういう発想をまったく持てないのです。サウジアラビアの首都リヤドに、日本国立美術館はいつごろできるでしょうか?


著作権に関する表示:当ウェブサイト内のすべてのコンテンツ(記事/画像等)の無断転載及び無断転用(コンテンツを無断流用した改変の掲載も含む)は固くお断り致します。