6. 腸溶性ラクトフェリン:200mg~800mg/日

最初に注意を促しておきたいのですが、「腸溶性」とつくので、先に述べた善玉腸内細菌とよく混同されますが、まったく違ったものです。 腸溶性ラクトフェリンはタンパク質であり、善玉腸内細菌は細菌です。

また、「免疫ミルク」というサプリメントとも違います。もっとも、免疫ミルクにはラクトフェリンが小量含まれていますが、ごく少量です。

ラクトフェリンとは母乳の中にごくわずかに含まれる赤い色をしたタンパク質です。初乳が最も多く含有しています。
もう60年以上も前に発見されていたのですが、その重要性に気づかれ、健康増進のために盛んに摂られるようになったのはつい最近です。赤い色は鉄イオンと結合しているためです。
生まれたての無防備な赤ちゃんのための物質ですから、非常に多彩な作用を示します。 まず、免疫系の調節、抗ウイルスおよび抗細菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、最近はがん発生および転移の抑制作用も確かめられています。 生まれたばかりの赤ちゃんにとって、体の中に取り込まれてくる物質は、成長に欠かせないタンパク質であっても、すべてが新しく、異物ばかりです。 それらのタンパク質に対し、ひとつずつアレルギー反応をおこしていては、生きていけません。ある程度は免疫寛容の状態が存在しなくてはいけないのです。 ラクトフェリンはその調節に非常に有効に働くのです。したがって、免疫系の異常が影響しているタイプのアトピーには大切です。

また、赤ちゃんが母乳を与えられたあと、すやすやと眠ることからおわかりになるように、ラクトフェリンには脳にも優しく働きかけ、鎮静作用をもたらします。 エンドルフィンを増加させるからです。
アトピー患者さんには心の問題をかかえている人がかなりおられます。問題というほど深刻でなくとも、精神的ストレスが大きいのは事実です。ラクトフェリンは、それを和らげてくれます。
肉体のストレスというものは若い人であれば、一晩寝れば回復するものですが、精神的ストレスはなかなか取れません。 どんな病気でも、何が一番悪影響をおよぼすかといえば、精神的ストレスです。その対策にラクトフェリンは非常に効果があります。 抗うつ剤や精神安定剤をのむ前に、まず「腸溶性ラクトフェリン」を試してみるべきです。
また、腸の悪玉菌から鉄分を奪い、その増殖を抑制し、善玉菌腸内細菌を増やし、腸を整えてくれます。先に述べた腸内細菌と同時に摂ると効果は倍増します。

ラクトフェリンを摂るにあたって肝心なことは、ラクトフェリンが胃や十二指腸で分解されず、小腸まで無事に届くかどうかということです。 そうでなければ、意味がありません。その問題を解決しているラクトフェリンのサプリメントは、腸溶性のラクトフェリンだけです。
蚕のシェラックと呼ばれる分泌物でコーティングを施し、胃酸で分解されずに腸に届いてから吸収されるように工夫されています。 このタイプのラクトフェリンが効果があるのです。
ただ、コーティングがされたまま腸さえも素通りしてしまい、便に混じって排泄されることが、たまにあります。もし、そういうことがおこっていれば、錠剤を半分に割ってのんで下さい。三分割までなら「腸溶性」の性質が保持されます。しかし、それ以上、分割してしまうと、「腸溶性」ではなくなってしまいます。ましてや、粉々にしてしまっては、まったく意味がなくなります。やわらかい錠剤ですから、普通のハサミで簡単に分割できます。

 最近はアポラクトフェリンというものが販売されていますが、これは、本来のラクトフェリンから鉄を除いた、いわば人工ラクトフェリンです。それなりの理論で、効能をうたっています。しかし、自然のラクトフェリンは鉄を20%含んでいるからこそ素晴らしい効果があるわけで、それをわざわざ取り除くというのは、自然の摂理に反します。自然そのもの、あるいは可能な限り自然に近いものこそ安全で効果があるのではないでしょうか。

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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