ドクターが推奨する「超・幸せの痩身法」 「ケルプ・ロード(Kelp Road)」という言葉を聞かれた人はおられるでしょうか?「シルク・ロード(Silk Road)」を知らない人はいませんが、「ケルプ・ロード(Kelp Road)」となると、かなり歴史に詳しくなければいけません。日本語に訳せば「昆布の道」になります。 室町時代、造船技術が発達し、江戸時代前期にはアイヌの人々が採集した昆布を、日本海沿岸を西廻りに、山形県の酒田から佐渡小木・能登福浦・下関などを経て大阪に運ぶことが可能となりました。その海の道を意味します。各々の寄港地で、昆布食文化が開いていき、和食の基礎となる、いわゆる「うまみ」が醸成されたのです。今でこそ、昆布は安い食料ですが、西廻(にしまわり)海運(かいうん)が十分整っていなかった時代では、地方によっては、税金の代わりになるほど貴重なものだったのです。その伝統的な昆布に、肥満に役立つ素晴らしい物質が見つかったのです。それは、フコキサンチンという一種のカロテノイドです。ルテインやアスタキサンチンなどと似た構造をしており、鮮やかな橙色をしています。海藻の中でもコンブ、ワカメ、アラメ、ホンダワラといった褐藻類や、それをエサとするホヤやカキにも含まれています。フコキサンチンそれ自体は100年以上も前に発見されたのですが、化学構造が決定されたのは、今から約50年前、1969年で、それがましてや肥満に効果があるとわかったのは2000年に入ってからです。生の褐藻100gあたり、6mg~20mgほどしか存在しておらず、サプリメントとして役立つ量を確保するのが、以前はけっこう難しかったのですが、最近の技術開発で、ようやく十分な量がとれるようになりました。 最初、その抗癌作用が主に研究されたのですが、現在最も注目されているのは、脂肪燃焼作用です。脂肪細胞には2種類あります。白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞です。 前者は普通300億個存在しますが、肥満者の場合はそれが倍の600億個にもなります。つまり脂肪をため込む細胞で、肥満の原因になります。 後者は文字通り褐色をしており、量は少なく、出生時には総量150gほどあるのですが、徐々に減少してゆき、思春期までに、40g~50gになってしまいます。大きさも小さく、直径は白色脂肪細胞のそれの10分の1です。また、数も白色脂肪細胞の0.5%~1%です。白色脂肪細胞は体全体に存在するのですが、褐色脂肪細胞は首筋や肩甲骨の周辺などに限られています。太っても、白色脂肪細胞のように数が増えることはありません。ミトコンドリアをたくさん細胞質に有しており、エネルギー生産に重要な働きを行い、体温の維持にも必須です。白色脂肪細胞は脂肪をため込み、褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼させるのです。ちなみに、動物の冬眠時の、運動に伴わない熱は、褐色脂肪細胞でつくられます。この褐色脂肪細胞を増やせばスリムになれるのですが、ちょっとやそっとでは増えません。ただ、方法はあることはあるのですが、非現実的です。それは極寒の地に住むことです。極寒ですから、文字どおり、非常に寒いところです。例えば、北極圏のグリーンランド。そこに住むエスキモーのイヌイットたちには、褐色脂肪細胞が多いということです。体を震わせないで熱を発生させることができなければ、グリーンランドでは凍死するのかもしれません。(それでも、写真でみるかぎり、スリムなエスキモーを見たことはありませんね。皆さん方、コロコロとしたチョイメタボな体つきをされています。アザラシから大量の脂肪を摂るためでしょうか? いいかえれば、もしイヌイットたちに褐色脂肪細胞が少なければ、みんな超メタボになるということなのでしょう)したがって、褐色脂肪細胞を増やす体操やサプリメントや器具など、そんな便利なものを使った「褐色脂肪細胞痩身法」は存在しません。なんせ、唯一の方法は、グリーンランドに行ってイヌイットの家庭に数週間お世話になることですから。しかし、日本に帰ってくると、またすぐに、褐色脂肪細胞は減ってしまいます。しかし、日本の研究者は実に偉いもので、褐色脂肪細胞は増やせなくても、褐色脂肪細胞が脂肪を燃やすメカニズムそのものを、数多くある白色細胞の中で発現させる方法を見つけたのです。(参考リンク[英文] :http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15896707) スリム・ジャパンの挑戦(2/6) スリム・ジャパンの挑戦(4/6) 著作権に関する表示:当ウェブサイト内のすべてのコンテンツ(記事/画像等)の無断転載及び無断転用(コンテンツを無断流用した改変の掲載も含む)は固くお断り致します。 Visits: 342