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隠れ甲状腺機能低下症1

「Ⅱ」現代の病気を解く6つのキーワード

隠れ甲状腺機能低下症

 この30年間に、特に女性の体温は1度低くなっています。36度を切る人が非常に多いのです。 ひょっとすると、地球の温暖化とどこか関係があるのかもしれません。 外が暑くなっているから、体は冷やそうとしているのでしょうか。しかし、体の冷えは万病のもとです。

 こういう人たちに共通しているのは、疲労感、便秘気味、冷え症、コレステロール値が高い、脈が遅い、集中力が足りない、ずんぐりと太り気味、顔もどこか全体的に浮腫気味、 毛髪がごわごわしている、白髪が増えた、精力減退(男性)、生理不順(女性)、軽度の貧血などの症状を、いくつか兼ね備えていることです

 不眠やうつ的なこともあるので、心療内科に行き、詳しい検査もされずに、睡眠薬や抗うつ剤をだされていることもあります。 そして、いつのまにか昼夜が逆転し、さらに睡眠剤・抗うつ剤を重ねられ、あげくのはてには就業不能、学生であれば登校拒否の状態に陥ってしまうことさえあります。

 こういった、現代に蔓延する、不定愁訴的な症状は、甲状腺の機能低下に由来することが多々あります。 医者はいちおう甲状腺機能低下も疑い、その検査をします。 しかし、たいがいは正常とでてくるのです。 ところが、この正常というのがくせもので、正常範囲下限ぎりぎりの正常から、上限ぎりぎりの正常まであります。 そして、ふつうの甲状腺の血液検査ではかるのはTSH(甲状腺刺激ホルモン)、T3(トリヨードサイロニン)、T4(テトラヨードサイロニン)くらいです。 rT3(リバースT3)は測定しません。

 甲状腺のホルモンはT4、T3、それとrT3の3種類があります。その中で、活性の強いのがT3です。rT3はT3の鏡像の異性体です。rはreverse (裏返す)のrです。 その活性はT3と比べるとほとんどありません。したがって、T3が甲状腺ホルモンとしての主な働きをしているといえます。 ところが、通常の検査では、rT3はT3と同じにみなされ、T3として検査結果がでてきます。 すると、いくら活性のないrT3が多く、活性の強いT3が少なくても、検査としては異常なしということがときどきおこりえるのです。しかも、TSHも正常とでてくることがあるのです。

 ただ、残念ながら日本では、このrT3の検査は普通のクリニックや病院では行われません。 当方のクリニックでも行えないのです。なぜなら、その検査のためのキットが、研究用は別として、ふつう日本では入手できないのです。よく患者さんから、どこでrT3の検査が、受けられるのかという質問がきますが、日本では受けられません。

 おそらく、うつ病、あるいは慢性疲労症候群、あるいは更年期障害と診断されている人たちの中には「ReverseT3」が多い状態の人がけっこういると推測されます。 肝臓の弱い人、腎臓に問題がある人、糖尿病が進行している人、神経性食欲不振症の人なども、「ReverseT3」が多くなる可能性が高いので、注意が必要です。

 また、T3、T4、TSHは正常値範囲以内にあっても、TgAb(抗サイログロブリン抗体)とTPOAb(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)が異常値を示し、慢性甲状腺炎(橋本病)やバセドー病を患っていることわかることがあります。つまり、甲状腺にはすでに病変が始まっているにもかかわらず、何とかもちこたえ、甲状腺ホルモンの分泌を正常にたもっているという状態です。

 これら二つの抗体の検査は、甲状腺専門病院以外ではあまり行いません。ですから、甲状腺がどうもあやしいと感じられた場合は、必ず専門の病院で検査してください。

 私はこれらの状態を「隠れ甲状腺機能低下症」と呼んでいます。あなたが女性で、家系的に甲状腺の病気を患った人がいる場合、その可能性は、かなり高くなります。 もちろん、男性でもかかります。

ここに述べることは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。
また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントを摂ったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。 インターネットにより、Dr.牧瀬のアドバイスを受けられたい方は、こちら


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