Doctors Supplements

「ホルモン補充療法を始める前に」

閉経前、閉経後にかかわらず、まず、更年期対策Aセットを2〜3か月試してください。あまり改善 がみられなければ、4週あいだをあけて更年期対策セットBを摂ってください。

閉経前の人:
マカは2400mg摂ってください。必要であれば、5日ごとに、1日1200〜2400mgを、ほてりやその他の症状が80%改善されるまで、徐々に増やしてください。
閉経後の人:
マカは3600mg/日摂ってください。 タモキシフェンやリュープロレリンなどの医薬品を服用中は、これらのサプリメントはお摂りにならないでください。 閉経前で妊娠を希望している人は、これらのサプリメントをお摂りになる前に、必ず婦人科の先生とご相談ください。

1) 更年期対策サプリメント「Aセット

2) 更年期対策サプリメント「Bセット」

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更年期対策サプリメントに含まれる成分のはたらき

シベリアン・ルバーブ

シベリアン・ルバーブ

エストロゲンが作用するには、エストロゲンを受容するレセプターが、各々の器官に必要です。そのため、Estrogen receptor-alpha(ER-α)とEstrogen receptor-beta (ER-β)の2種類のエストロゲン受容体が全身に存在します。
ER-αは生殖器官(乳房、卵巣、子宮)の組織、ER-βは抹消の組織に存在します。

更年期におこるさまざまな症状を改善し、しかも副作用が発現しないようにするには、エストロゲンがER-βに選択的に結びつかなければいけません。ER-βが活性化すると、脳、骨、心臓血管、皮膚、その他の組織に有益なエストロゲン作用が促進されます。
医薬品のプレマリンにせよ、代替療法のヒトのプロゲステロンとまったく同じ構造のプロゲステロン(これを bio-identical progesterone と呼びます)を含むクリームにせよ、あるいはエクオールにせよ、すべて一種のホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy:HRT)であり、ER-βを活性化すると同時に、ER-αも非選択的に活性化してしまい、不必要な副作用がおこることがあります。

そこで、見つけ出されたのが、シベリアン・ルバーブです。その根に含まれるラポンチシンやデソキシラポンチシンといった物質はER-βに結合し、活性化させます。ER-αにも結合しますが、非常にわずかなのです。
1993年からドイツでは広範囲に使い始められ、毎年、670万錠が販売されていますので、その安全性は確かなものだと考えて良いでしょう。

エゴマオイル / フラックスシードオイル

フラックスシードオイル

体の不調和にはエイコサノイドのバランスの乱れが、起因していることが多いのです。
エイコサノイドとは必須脂肪酸が代謝されて細胞膜でできる最終の物質で、その細胞および付近で強力なホルモンのような働きをする、骨格に炭素原子を20もつものです。(ギリシア語でeikosiは20を意味します)。したがってローカル・ホルモンといってもさしつかえないでしょう。

更年期にはこのローカル・ホルモンもバランスが崩れ、悪性のエイコサノイドが良性のエイコサノイドを上回ってきます。詳しい説明は「現代の病気を解く6つのキーワード」の「炎症とエイコサノイド」のページを参考にしてください。
エゴマオイルやフラックスシードオイルに多く含まれるオメガ3不飽和脂肪酸の代表であるα-リノレン酸は良性のエイコサノイドを増やしてくれ、うつ、イライラ、理由のない不安感などを軽減させてくれます。しかも、まったく副作用なしにです。ぜひ摂っていただきたいサプリメントです。

ビタミンK2

ビタミンK2

 ビタミンKは、K1~K5と5種類あります。ビタミンK1(フィロキノン)は光合成に関与するために、植物の緑の葉に多く含まれています。ビタミンKを補うために緑黄色野菜をしっかりと食べましょうというのは、このためです。

K2は、さらに11種類に分類されますが、総称してメナキノン(menaquinone; MK)と呼びます。MK-4 ~MK-14と略記され、そのうちMK-4(メナテトレノン)とMK-7が重要です。ヒトの動脈壁、膵臓、精巣などで、ビタミンK1からMK-4に変換されます。また、大腸に棲息する腸内細菌によっても、K1からMK-4に変換されます。

ビタミンKの基本的働きは、γ-グルタミルカルボキシラーゼという酵素が働くための補因子としての役目です。この酵素は、活性を有していないビタミンK依存性蛋白内のグルタミン酸残基(Glu)を、活性のあるγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)へ転換します。その際、ビタミンKはγ-グルタミルカルボキシラーゼの補酵素として働きます。

γ-カルボキシグルタミン酸は血液凝固と関連した蛋白や、骨、腎、肺、精子、動脈壁などにも広く分布しています。骨に関係するのはオステオカルシンでカルシウムイオンの恒常性を保つ働きや、膵臓のβ細胞に働いてインスリン分泌を促す作用もあります。また、アディポネクチンの分泌も促進します。動脈壁では、カルシウム沈着による動脈硬化発症を防いでくれます。

閉経後は女性ホルモンの低下が原因で、カルシウムの摂取量が十分でも骨量が減ります。そのため、ビタミンKの、骨にカルシウムを取り込ませる効果が重要になります。

卵巣にはビタミンKが他の器官よりたくさん含まれており、特にMK-4 が多いのです。その理由は実のところ、よくわかっておりませが、近年、多くの臨床検討によって、ビタミンKが、卵巣がんをはじめ多くの臓器がん細胞の委縮を誘導する作用を持つことが確認されています。
できれば、クロムも一緒に補われると、さらに効果は増します。
(ワーワリンなどを服用している人は、このビタミンは摂らないでください)。

クロム

クロム

更年期の一つの悩みは体重増加です。若いころと比べると10キロは軽く超えてくる人は大勢おられます。クロムが痩身に役立つとまでいえばいいすぎかもしれませんが、インスリンとの関係で、非常に重要な働きを行います。

クロムは細胞膜のインスリン受容体(レセプター)の感受性を強化し、両者の結合を促進して糖の細胞膜の浸透性を改善してくれるのです。つまり、肥満と最もかかわりの深いインスリンの働きを助けてくれるわけです。後述する亜鉛と並んで、糖尿病治療に不可欠なミネラルなのです。

糖尿病と更年期はまったく別のものですが、両者ともインスリン抵抗性の改善は非常に重要です。いろんな形のクロムが販売されていますが、ピコリン酸クロミウムがすすめられます。普通、ミネラルは電荷してイオンの形で人体内に存在します。特にクロムはひどくプラスに電荷されていて、生きた細胞膜を通過して細胞内に入ることができません。電気的に中性にしてやる必要があるのです。そこでいろいろ研究がなされ、このクロムを挟み込んでやると(これを専門用語ではキレート化するといいます)細胞膜をうまく通過することがわかったのです。
(もし、インスリンや経口血糖降下剤をすでに使用しておられるなら、クロムを摂るときは、必ず主治医の指導を受けてください)。
更年期に入ると骨密度が減ってくることがあり、骨粗鬆症につながります。クロムはカルシウムの体内からの損失を防ぎます。

また、クロムは副腎皮質からDHEA(デハイドロエピアンドロステロン。オメガ3不飽和脂肪酸のDHAと間違わないようにお願いします)の分泌を促します。これは、女性ホルモンや男性ホルモンの前駆物質です。

グリシン酸マグネシウム

マグネシウム

マグネシウムのサプリメントには、クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、トレオン酸マグネシウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、などいろいろあります。その中でも、グリシン酸マグネシウムやトレオン酸マグネシウムは、胃腸に優しいため、私たちのクリニックではこのタイプのマグネシウムを昔から使っています。

マグネシウムに直接依存する人体の酵素は、現在わかっているものだけで325種類もあります。亜鉛に依存する酵素が約200、銅が20そこそこ、セレンが10と比べて、抜群に多いのです。

それがゆえに、間接的にマグネシウムが関与する代謝も含めると、数千の化学反応に及ぶと推測されます。 つまり、このミネラルが十分に存在しないと、生理機能は麻痺するということなのです。

血清マグネシウムは普通の健診では調べません。しかし、ALP(アルカリホスファターゼ)はよく調べます。そこで、もしALPの値がかなり低ければ、マグネシウムの不足の可能性を疑ってください。 ALPの活性部位にはマグネシウムが存在しますから。

月桃

月桃

このサプリメントの効能は、メニュー内検索のボックスに「月桃」と入れていただければ、多くの個所に説明が出てきます。牧瀬クリニックの基本処方で、さまざまなサプリメントの組みあわせに、月桃は入っています。このサプリメントは、数多くのポリフェノール、カロテノイド、ラクトンを含有しており、月桃茶が昔から飲まれていた沖縄では、女性の更年期障害は比較的軽いといわれています。

月桃には特にフラボノールのケルセチン、フェノール酸のフェルラ酸が多く、これらのポリフェノールは総合的・相乗的に働き、更年期に現れる多彩な症状を緩和させてくます。

ケルセチンは非常に詳しく研究されている物質ですが、そのフラボノール骨格の3’の位置に-OHがくっついた構造をもつケンフェロールも月桃には多く含まれています。これら二つのフラボノイドは、抗炎症作用、抗がん作用、脂質コントロール作用、血圧低下作用、抗肥満作用など示します。

ケセルチン
ケセルチン
ケンフェロール
ケンフェロール

ケルセチンは玉ねぎの皮に多く含まれていますが、グラム単位でいえば、月桃の方に多く含まれているのです。「月桃」のページのグラフを見てください。

更年期にはホルモンバランスのくずれから、じんましんができやすくなる人がおられます。これには、ケルセチンやケンフェロールが効果的です。ホットフラッシュ、発汗、気分の不安定、イライラ、頭痛、不眠、性交痛、肩こりなどは、更年期によくある症状ですが、じんましんはアレルギーの問題と解釈されて、ホルモンバランスの乱れも一因になることが意外と考慮されていません。更年期を過ぎてしまうと、しつこかったじんましんが、いつのまにか治っていたという人はけっこうおられます。

フェルラ酸は特に脳・神経系に対する効果が優れており、更年期の自律神経失調症には抜群の改善作用があります。アルツハイマー病の予防にも有効だという研究があります。フェルラ酸は米ぬかに多いのですが、月桃にも多く含まれています。

* 2021年2月から、今までの月桃加工食品に、製造過程でフェルラ酸、ビタミンD3、ビタミンAが足され、パワーアップされたものになりました。(妊娠を希望する場合、ならびに妊娠中、授乳中はこのサプリメントはお摂りにならないでください)。

フェルラ酸
フェルラ酸

また、月桃にはDK、DDKというカヴァラクトンが含まれており、これは通常、南太平洋のポリネシアの島々に生えている「カヴァ」あるいは「カヴァカヴァ」と呼ばれる、植物が多く含んでいます。ところが、不思議なことに、カヴァとはまったく系統の違うショウガ科の月桃もカヴァラクトン含有しているのです。特にDDKは抗ウイルス作用、抗がん作用が強く、更年期の免疫力低下時には役に立つでしょう。

沖縄では昔から、ムーチと呼ばれるモチ菓子を月桃の葉で包み、保存しておくという風習があります。これは、月桃の持つ抗細菌・抗ウイルス作用がいかに優れているか、伝統的に知られているためです。

マカ

マカ

マカはペルーに自生するアブラナ科の多年生植物で「アンデスの女王」と呼ばれており、更年期障害の改善に非常に効果があります。2000年以上にわたりインカの人々によってマカは栽培されてきました。南米一帯どこでも採れるのですが、効果があるのは4000メートル以上の高地で育ったマカです。

空気が薄く、土地が貧しいところで栽培されたマカがいいのです。アマゾン流域のマカと、ペルー原産のマカと比べた場合、当然、後者の方が効果は強いのです。南米では食料の一部として長年使われてきたほどですから、副作用の心配はまずありません。ただ注意すべきことはマカには比較的銅が多く含まれていますから、マカをとるときは必ず亜鉛のサプリメントも一緒にとって下さい。そうでないと亜鉛の相対的不足をおこします。

マカは少量摂っても効果はさほど期待できません。毎日1000mg は摂るべきです。ちまたで販売されているマカのサプリメントの量に注意を払ってください。かなり少ない製品があり、そういう場合、わざと量を明記してないことがあります。牧瀬クリニックが処方しているマカの1カプセルには、600mgのマカが入っています。

不定期でも生理がある場合は、生理の始まる日から、摂り始めてください。
 <参考リンク>:Beneficial effects of Lepidium meyenii (Maca) on psychological symptoms and measures of sexual dysfunction in postmenopausal women are not related to estrogen or androgen content.(英語)

更年期には骨密度の減少がおこりやすいものですが、マカはそれを防いでくれます。
 <参考リンク>:Effect of ethanol extract of Lepidium meyenii Walp. on osteoporosis in ovariectomized rat.(英語)

亜鉛

亜鉛

マカを摂る場合に、上記に書いたように、亜鉛の相対的不足を防ぐために補うということで、摂っていただいた方が無難です。また、亜鉛はそれ自身が非常に重要な役割を果たします。

更年期に入ると卵巣機能が衰退し、それが視床下部を中心に影響を与え、さまざまなホルモンのバランスが乱れてきます。甲状腺ホルモンについて例をあげると、次のようになります。

視床下部から甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH)が分泌されます。このホルモンによって脳下垂体前葉で甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌が促されます。そして、TSHは甲状腺での甲状腺ホルモンの合成・分泌を促進します。つまり、視床下部-脳下垂体-甲状腺hypothalamic-pituitary-thyroid axis (HPT axis)という大切な神経ホルモン伝達軸があるのです。この軸にあって、特に視床下部でのTRHの生産に亜鉛が必須なのです。

これはほんの一例ですが、ホルモンバランスの複雑な代謝経路で、亜鉛は女性ホルモンの分泌を活性化させてくれます。糖尿病や前糖尿病が疑われる人は、前述したクロムと共に、なおさら補っていただきたいミネラルです。

亜鉛の血中値は簡単に調べられますが、職場での通常の健診で、亜鉛の血中値は調べることは、まずありません。しかし、ALP(アルカリフォスファターゼ)は頻繁に調べられています。もし、ALPが基準値より低ければ、亜鉛やマグネシウムの血中濃度が低いかもしれません。

運動

これは、サプリメントではありませんが、更年期には非常に重要です。特にスクワットが良いでしょう。日に20回、10日間続けると、DHEAが30%ほど増えるといわれています。
DHEAは更年期障害解消のための重要な性ホルモンです。これは、7-keto-DHEAなどのサプリメントから摂ることはできますが、どの程度、摂るべきか決めるのがたいへんにむつかしく、過剰になると、むしろ逆効果で、さまざまな副作用がでます。ところが、運動によって、自然に体内で生産される分では、副作用の心配はありません。

スクワットは太ももの筋肉はもちろん、お腹、背中、お尻にもある大きな筋肉を一度に動かすことができますから、単純なようで、効果は非常にあるのです。しかも、場所を問いません。

クロムは夕食と共にお摂りになると睡眠の質を良くしてくれます。クロムはDHEAの分泌を促します。したがって、クロムを摂った夕食後に、たった20回で良いですから(できれば40~50回!!)スクワットを実行されると良いでしょう。食後の血糖値スパイクも防いでくれ、心・血管系の病気の予防にもなり、DHEAも増えますから。

更年期スクワット

以上のサプリメントを補うという意味で、以下の「タレジュのオイルの」オイルや「ニュージーランドのハーブティー」を追加されても良いでしょう。Aセット、Bセット、いずれに足されてもけっこうです。

 

タレジュのオイル

タレジュのオイル

これはヒマラヤのハーブからつくった7種類のエッセンシャルオイルと月桃のエッセンシャルオイルをブレンドしたものです。「タレジュのオイル」のページに各々のエッセンシャルオイルの簡単な説明が載っています。

 

こと、更年期障害には、なんといっても、タレジュのオイルがもつ、気分や情緒を安定させる効果です。卵巣機能衰退が脳の視床下部を中心に影響を与え、さまざまな不定愁訴を感じさせます。タレジュのオイルの蒸気を吸うことによって、深い安らぎが得られます。お風呂に数滴入れて、入浴されても良いでしょう。肩こりには、肩・首筋に塗ってマッサージすると、たいへん楽になります(ホホバオイルなどをキャリアオイルとして、それに混ぜて使ってください)。あるいは、ハンカチにオイルを1~3滴垂らし、ハンカチを鼻にあてて、深呼吸されても良いです。

Cool and Calm Tea(クール&カームティー)

更年期の女性にお茶

ニュージーランドで、更年期の女性にたいへん人気の高いお茶です。「ニュージーランドのハーブティー」のページを開けてください。そこに記載されているPregnancy TeaやBreastfeeding Teaを製造しているArtemis®というハーブ専門の会社がつくっています。特に、“のぼせ”や“ほてり”を文字どおりクールダウンし、また“イライラ感”をカームダウンして、安らいだ心地よさをもたらしてくれます。

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