1) アレルゲン検査は必要か

私の診療所では、RASTやパッチテスト等の検査を一切行っておりません。その理由は、これらの検査を実施したところで、治療成果に大きな改善は見られないからです。

私のもとには7割の母親方が他の病院で行われた食物アレルギーの検査結果を持参してきます。そして、多くの場合、様々な食物に対するアレルギーが示され、何も食べられないという結論に至ります。
さらに、ハウスダスト、花粉、ダニ、金属へのアレルギーも示され、食べ物を摂取できないだけでなく、どこにも住む場所がないという状況になってしまいます。これは明らかに非現実的な話です。

アトピー症状とアレルギーとの関連性は確かなものですが、アレルギー検査で陽性反応が出たからと言って、それが実際に食べ物を摂取した時にアレルギー反応を起こすとは限りません。
確かに、小児の場合、大豆、小麦、牛乳、卵白などの食物に対するアレルギーが存在し、その結果アトピー症状が悪化する例は少なくありません。これは、腸管の発育が不十分なため、抗原物質が抗原性を保ったまま体内に吸収され、その物質に対するIgE抗体が生成されるからです。

そして、一度IgE抗体が作られてしまうと、その抗体に対応する食物を再度摂取すると抗原抗体反応が起き、アトピーが発症します。しかし、この現象は腸管が未発達な時期に起こるもので、ソバに対するアレルギーを除けば、中学生くらいになると通常は消えてしまいます。特に卵白に強く反応する子供もいますが、この反応は徐々に薄れていくものなので、過度に神経質になることはありません。そして、お子さんには食事をよく噛んで摂るように注意してあげてください。
ダニを排除するための様々な器具や、ダニが付かない布団や枕も販売されています。業者の広告に乗せられて無理に購入するのは無謀です。しかし、常識的に考えて、常に生活空間を清潔に保ち、ダニなど目に見えない可能性のあるアレルゲンをできるだけ減らすことは、当然心掛けるべきです。
完璧にアレルゲンフリーの住居空間を、この狭い日本でつくりだすことは事実上不可能です。

ぼくがここに述べているアトピー対策は、普通の社会生活を営みながら、しかも、できるだけ安価に実行できる方法を紹介しているのです。そして、アレルゲンを完全に除去した食事は非常に高くつきますし、かつ、この忙しい日本の社会で毎食、毎食、準備できないのです。

2)毛髪検査について

毛髪検査は、体内に蓄積された有害物質、たとえばカドミウム、水銀、アルミニウム、砒素、などをチェックするために行われています。
健康な人でさえ、水銀や砒素の数値が高く出るケースは珍しくありません。私の経験から見て、この検査の精度には相当な疑問を感じざるを得ません。アトピーについては、特に原因が判明せず、他の全ての検査を試みた後にまだ解明できない場合に限り、この検査を行うのが適切かと思います。しかし、毎度毎度この検査を行うのは、実際の診療においてほとんど意味がないでしょう。

また、水銀、カドミウム、アルミニウム、砒素といった有害金属が一切検出されなかったからと言って、すぐに安心してはなりません。もしかすると、その人の体がこれらの有害物質を解毒できず、毛髪へ排出することができないまま体内に蓄積している可能性もあるのです。すなわち、極端に多くの物質が毛髪から検出される場合を除いては、この検査結果から何も断定することはできないのです。

物質が検出されたという事実は、体が解毒する能力を持っていることを示しますが、逆に何も検出されなかった場合は、それが解毒能力の欠如を示すのかもしれません。この点についてはまだ解明されておらず、非常に曖昧な状態なのです。

従って、毛髪検査の結果だけに基づいて治療方針を決定することは危険です。

3)予防接種について

このトピックについても、よく質問を受けます。アトピー患者はウイルスに対して弱いので、予防接種が必要なのですが、公衆衛生センターで問診時にアトピーであることを告げると、予防接種を拒否されることが多いです。その理由は、まれにでもショック反応を引き起こす可能性があるからです。

特にインフルエンザワクチンは、成長した鶏卵で培養・増殖したウイルスを利用して製造されますので、重度の卵アレルギーが残っている間は、非常に注意が必要です。

したがって、何が何でも予防接種を受けさせたいという場合は、何か問題が発生しても直ちに対応できるような設備を整えている総合病院で予防接種を受けるべきです。その際には、医師に正直にアトピーであることを告げてください。

しかしながら、そこまでして予防接種を受ける必要性については疑問です。日本脳炎などは、特定の地域以外では現在はほとんど存在しません。また、三種混合ワクチンなどの効果についても、欧米では大いに疑問視されています。

極端な意見ではありますが、アルツハイマー病、ギランバレー症候群、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎などの難病は、幼少期に受けた予防接種が原因であると主張する研究者もいるぐらいです。
まだ日本では予防接種が必要という観念が広く浸透していますが、その必要性については今後大いに議論されるべきです。

最終的にはご自身で判断していただきたいと思います。

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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