b) 褐色細胞腫

副腎髄質や傍神経節に発生するカテコールアミン産生腫瘍です。多くはありませんが、全国で2000~3000人が罹患していると推測されています。男女差はなく、発症年齢は20~40代が多くなっています。発作的に急激に血圧があがり、激しい動悸や、不安感に襲われます。
私も一度、診察したことがあります。20代後半の女性で、自律神経失調症ということで、ろくな治療を受けられていませんでした。血圧があがったときは、顔面蒼白となり、額から汗が流れ落ちてきたといわれます。しかし、あまりにしばしばそういう症状がおこるので、精査したところ、CTで副腎に腫瘍が見つかり、尿の中のカテコールアミンなどを調べ、褐色細胞腫と確定診断されたそうです。
腫瘍そのものはがんではなく良性なので(しかし10%ほどは悪性)、外科的に切除すればすみやかに完治します。
自律神経失調症や心身症と診断されても、患者さんのほうから医者にしつこく迫って、いろいろ精査してくれと頼んだほうがいいかもしれません。特に早朝に頭痛がおきるときは、いちおう、褐色細胞腫の可能性も考慮してください。
また、パニック障害と心療内科や精神科で誤診されている例も、存在するはずです。

c) その他

甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、大動脈狭窄症、クッシング症候群、先端巨大症、睡眠時無呼吸症候群、薬剤(特にステロイド)、なども高血圧を誘発します。
副甲状腺機能亢進による、副甲状腺高血圧因子が作用して、高血圧症状をおこしていることもあります。原発性アルドステロン症よりも数は少ないかもしれませんが、褐色細胞腫による高血圧よりも多いかもしれません。特に腎結石、尿路結石、不整脈などが合併しているとき、副甲状腺機能亢進も疑ったほうがよいでしょう。「見逃され副甲状腺機能異常」のページも参考にしてください。

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