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活性酸素とフリーラジカル 1

「Ⅱ」現代の病気を解く6つのキーワード

ここに述べることは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。
また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントを摂ったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。 インターネットにより、Dr.牧瀬のアドバイスを受けられたい方は、こちら


活性酸素とフリーラジカル 1

もう、活性酸素についてみなさんは十分に知っておられると思いますが、最後に書いておきます。熟知されている方は、飛ばしていただいて、次の個々の疾患のところに行ってください。

 リンゴを剥いて数時間そのままにほうっておくと、表面が茶色に変色します。バターの切り口は白いのですが、それもすぐに黄色に変わります。鉄も空気に曝したままいると、やがて錆び、そして朽ち果ててしまいます。これはすべて酸素による酸化がおこっているのです。人間にとって酸素は必要不可欠なものですが、もし体の中で酸素によって、このようなことがおこっていると考えたらいい気持ちはしません。しかし現実は毎日、毎日、少しずつ、人体は錆びていっているのです。
このサイトを開くような人であればフリーラジカルや活性酸素という言葉をきっとごぞんじのはずですが、ごく簡単に説明しておきましょう。
 前者は、対になっていない一個だけの電子を最も外側の軌道にもっている非常に不安定な分子をいいます。それは、対になる電子を他の分子から奪い安定な状態になろうと、過激に動きまわります。
フリーラジカルに電子を1個奪われた分子は、それ自体がフリーラジカルになり、連鎖反応的にフリーラジカルをつくりだしていきます。後者の活性酸素は、フリーラジカルになった酸素分子あるいは酸素原子、つまり最外周を回っている電子が通常より1つ多いときや逆に少ないときの不安定な状態になった酸素と、そうでなくても、例えばH2 O2(過酸化水素)というような他の分子と極めて反応しやすい状態になった酸素をひっくるめていいます。
 それらが人体に有利に働くときは、体外から侵入してきた細菌やウイルスといった異分子を殺して人体を守ってくれる役目を果たし、なくてはならないものなのですが、正常な細胞のDNAまで傷つけることがあるのです。
しかし、活性酸素がダメージを与えるのはDNAだけではありません。
もっとダメージを受けやすいものがあるのです。それは体の中にある脂質(コレステロールや中性脂肪)です。酸化された脂質は過酸化脂質と呼ばれ、連鎖反応的に他の脂質を酸化していき、動脈硬化の誘因にもなります。
 またタンパク質も攻撃し、変質させていきます。この過酸化脂質は腎臓から排泄されず、長く体内にとどまり、ゆっくりと、しかし執拗に組織や臓器に浸透していき、細胞を破壊していきます。
では、この活性酸素から身を守るにはどうしたらいいのでしょうか。
すでに人体は防御の手立てをもっているのです。その代表格がSOD(スーパーオキシド・ディスミュターゼ)で、その他、グルタチオン・ペルオキシダーゼやカタラーゼという酵素なのです。
 こういった酵素の活性酸素に対抗する作用を抗酸化作用とよんでいます。
 これら三つの酵素だけでなく、抗酸化作用を有する物質は自然界に非常に多く存在し、総称して抗酸化物質とよび、活性酸素を除去してくれるので、英語では「スカヴェンジャー」、つまり「掃除人」ともよんでいます。特に光合成を行なっている植物は毎日、大量の日光を浴びながら体内で膨大な量の酸素を発生させていますから、活性酸素もそのぶん多く発生し、細胞のダメージを除去するために、ふんだんに抗酸化物質を持ち合わせていなければいけません。
したがって植物の葉、幹、果皮には非常に多くの量と種類の抗酸化物質が含有されています。β-カロテン、リコピン、ルテインに代表されるカロテノイド、最近話題になっている赤ワインに含まれているアントシアニン、タンニン、カテキン、といったポリフェノールなども、そのたぐいです。健康になるには果物や野菜をせっせととりなさいというのは、じつはそれらに含まれている抗酸化物質をとりなさいということに他ならないのです。そして体の酸化を防ぎ、錆をとりなさいということなのです。特に色の濃い緑黄色野菜が良いといわれるのは、その色素に抗酸化物質が多く存在しているからです。
 だてや粋狂に植物はカラフルな色彩をまとっているわけではありません。活性酸素から身を守るために、大量の抗酸化物質を自らの内に有しているからなのです。
損傷DNAが蓄積し、老化が進行していくということは、本来、人体がもっている活性酸素除去能力を上回る活性酸素が毎日発生していることを意味します。
 つまり、体内で生産されるだけのSOD、グルタチオン・ペルオキシダーゼ、カタラーゼといった抗酸化物質のみでは不足であるということなのです。したがって人体の錆を防ぐには、外から積極的に抗酸化物質を補ってやる必要があるのです。じゃ、抗酸化物質SODを合成して補えば、最も効率的ではないかという声がきこえそうですが、ことはさほど簡単ではありません。
 SODの合成剤はあります。アメリカでは薬局や健康食品店で、医師の処方箋なしで手に入ります。しかし分子量が大きすぎて、腸からうまく吸収されないのです。あるいは、胃で小さな分子に分解されてしまい、もう本来のSODではなくなってしまっているのです。つまり、経口投与でほとんど効果はないのです。そこで、腸から吸収される低分子の抗酸化物質で、高分子抗酸化物質の不足分を補うしかないのです。
その代表がビタミンC、ビタミンEでしょう。いまさら、説明する必要はないと思われますので、省略しますが、ただ、ビタミンCの注意点だけを書いておきます。
このビタミンは摂り方の非常に難しいビタミンなのです。以前は、私もビタミンCを非常にすすめていました。しかし、使えば使うほど、その適切な使用が難しいと感じるようになり、最近は必要最低限の量しかすすめていません。そして、現代人は、知らない間にけっこうビタミンCを摂っているのです。その理由は、多くの食品添加物にビタミンCが使われているからです。

典型的な例をあげましょう。私の東京在住のアトピー患者さんの一人です。その方は、ビタミンCの濃縮点滴大量療法がアトピーに効くときいて、大阪にある代替療法専門クリニックに2~3ケ月に一度通っておられました。
たしかに、非常に効くのです。ステロイドを服用したように、スーッと症状が消えるのです。しかも、これといった副作用なしにです。そしてその効果は2~3カ月もちます。ですから、2~3カ月おきに、東京から大阪に通われていました。ところが、基本的なところで治っていないらしく、完治はしません。そして、アトピー症状が消えて、次に再発してくるときは、以前より悪化してでてきます。そして、それを繰り返しているうち、症状は次第に悪化し、ついには、超重度のアトピー性皮膚炎になってしまったのです。患者も医者も、ビタミンCはステロイドより安全だという、一種の信仰があるので、こういうことになってしまったのです。
また、癌にもよくこのビタミンCの濃縮点滴大量療法がなされます。これも、同じで、受けたときはいい。しかし、再発してくるときは、手の施しようがないほど、癌は転移を始めます。そして、ほとんどの例で再発します。
ヒトとチンパンジーは自分の体の中でビタミンCを合成できません。ところが他の哺乳動物、たとえばライオンは自分の体の中でビタミンCを合成できます。したがって、ライオンは肉食だけでも、生きていけるのです。
最も進化しているはずのヒトやチンパンジーは、当然、ビタミンCをつくる能力をもっていなければいけない。それなのに持っていないということは、適者生存を言うダーウィンの進化論と矛盾するではないか。それゆえに、この事実は、ダーウィンの進化論の欠点の一つだという学者たちがいます。
しかし、この学者たちも、最初から、ビタミンCは「良いビタミンである」という固定観念があるので、こういう見方しかできないのです。しかし、ここで発想を変えて、ひょっとすると、脳の発達にはビタミンCはかえって有害であったから、あえてヒトとチンパンジーは、ビタミンCをつくる遺伝子を進化の過程で捨ててしまったと、なぜ考えないのでしょうか。
私もこの考えが正しいかどうかわかりません。しかし、数多くの臨床例を観察していると、ビタミンCはそれほど安全なビタミンではないという思いなのです。ひょっとすると、大量のビタミンCは脳に有害な作用を与えるのかもしれません。医学はそこまで、研究していないのです。
風邪やヘルペスの初期に多い目にビタミンCを摂るのはいいでしょう。私もそれをすすめています。しかし、日常的に、サプリメントからビタミンCを大量に摂るのは絶対に勧めません。しかし、果物や野菜からは、大いに摂ってください。自然は偉大です。果物や野菜に含まれているビタミンCは、サプリメントのビタミンCと同じであっても、人体には有害に働かないように、さまざま物質で囲まれているようですから。

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