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前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)

 

ここに述べることは、あくまで一般的な参考としての情報であり、読者が医学知識を増やすための自習の助けになるものであり、それを越えるものではありません。
また、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに書かれてあるサプリメントを摂ったり、治療法を行い、症状が悪化しても、いっさい責任はとれません。 インターネットにより、Dr.牧瀬のアドバイスを受けられたい方は、こちら



EDのところで前立腺の健康が大切だと述べましたので、続いて前立腺肥大について書きます。
 症状は前立腺癌と似ていて、夜間頻尿、残尿感、排尿困難などです。まず、癌であるか、肥大であるかの鑑別が大切です。しかし、症状だけで鑑別するのは不可能です。必ず泌尿器科に行き、検査をしてください。前立腺肥大では人は死にませんが、癌であった場合、他の臓器に転移すると、人は死にます。

 前立腺肥大の元凶は、ディハイドロテストステロン(dihydrotestosterone :DHT)です。
 このDHTが前立腺の組織を過剰に増殖させ、前立腺肥大をおこすのです。前立腺には5-α-reductaseという酵素があり、これがテストステロンをDHTに変換します。テストステロン自体が悪いのではありません。
 普通、前立腺平滑筋による尿道の締め付けを和らげる塩酸タムスロシン、塩酸テラゾシン、塩酸プラゾシン、などのα-1-ブロッカーが処方されます。あるいは抗男性ホルモン作用を示す、酢酸クロルマジノン、アリルエストレノールなども使用されます。
 最近は、フィナステリドという5-α-リダクターゼ阻害薬が使われることがあるかもしれません。商品名 Proscar, Propecia, Fincar, Finpecia, Finax, Finast などです。しかし、これは、悪性の前立腺癌を増悪させるという報告があります。
また、泌尿器科医たちが、熱心に手術をすすめるのがこの前立腺肥大症です。最近はHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)や「ダ・ヴィンチ」という精巧なロボットを使った、非常にすぐれた手術が普及していますが、わずかな確率でも、勃起障害や尿失禁が後遺症としておこることは否定できません。したがって、できるだけ手術はしたくないものです。

 前立腺肥大のサプリメントで最も有名なのが、ノコギリヤシ(Saw palmetto)の実のエキスです。これは代替療法を行う医師なら誰でも知っています。特にヨーロッパで研究されています。 前立腺肥大症に対する、もはや古典的サプリメントといっても過言ではないでしょう。北アメリカ原産の背の低いヤシの一種で、葉がのこぎりのようにギザギザしているためにこう呼ばれています。 Saw palmetto の 「Saw」は、見る(See)の過去形のSawではなく、「ノコギリ」という意味です。
 これは5-α-reductaseの働きを抑制します。日本でも普通の薬局で売られるようになりました。しかし、私はこのサプリメントはあまりすすめません。なぜなら、最近の研究によると、ノコギリヤシは正常な細胞も傷つけることがあることがわかってきたからです。それと、品質のいいノコギリヤシのサプリメントを探すのは、けっこうむつかしいからです。
 ノコギリヤシが前立腺肥大に効果があるのは、それに多く含まれているβ-シトステロールという一種のコレステロールだという研究もあります。しかし、それなら、他のハーブにも含まれているわけで、ことさら、ノコギリヤシから摂る必要はありません。
 亜鉛はディハイドロテストステロンの働きを抑制し、ビタミンB6は亜鉛とともに働き、テストステロンがディハイドロテストステロンに変換されるのを防いでくれます。(しかし、長期にわたり亜鉛のサプリメントを摂るのは危険です)。また、イラクサの根(葉は、アレルギーには効果がありますが、前立腺肥大にはさほど効果はありません)、エピロビウム(北海道や本州の高山に自生するヤナギランの一種)もいいでしょう。
 しかし、最も効果的なのは、月桃、ビタミンK2、イノシトールの組み合わせです。前立腺肥大の予防には月桃は4カプセル/日で良いでしょうが、いったん肥大してしまうと、その倍は必要です。月桃を飲んだが、まったく尿の出が改善されなかったというクレームが、時々あります。しかし、詳しくきいてみると、日に2カプセルという回答です。これは、健康な人が、健康維持のために摂る最低の量であって、薬を使わねばならないほど肥大した場合は8カプセル/日は必要です。これを3ヵ月続けてください。
 また、サプリメント以上にまして大切なことは、食生活の改善です。可能なかぎり肉や乳製品を避けてください。要するに和食に徹するということです。

注意:リコピン
 昔は私もこのカロテノイドをすすめていたことがあります。しかし、サプリメントとして濃縮されたリコピンはすすめられません。どんなカロテノイドでもサプリメとして、大量に摂ると、ちょうどベータカロテンが喫煙者の肺癌のリスクを高めたように、かえって悪影響がでる恐れがあるからです。それに、リコピンが効果を発揮するには、トマトの中に含まれている状態(つまり、他のさまざまな物質とともに)であり、単独でないという研究があるからです。

牧瀬クリニックでは、掲載の症状に対するインターネット診療及びサプリメント処方を有料で実施しております。詳しくは、こちらをご覧ください。


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