16. モリンガ:200mg~600mg/日
モリンガとは北インドを原産地とするワサビノキ科に属する植物です。時代と場所により、「奇跡の木」、「薬箱の木」、「生命の木」と呼ばれるほど薬効の高い木なのです。
驚くばかりに豊富なビタミン、ミネラル、アミノ酸が含有され、アーユルヴェーダ医学では、モリンガは300の病気を防ぐことができると絶賛され、古代から使われてきました。 根から花まで、すべての部分が使われ、油もエジプト、ギリシア、古代ローマにおいては香水と肌の保護のために珍重されてきました。
モリンガにはヒアルロニダーゼという酵素の働きを阻害し、真皮に多く存在する上記のヒアルロン酸の減少を抑制してくれる働きがあります。 ヒアルロン酸は皮膚組織の水分量を保つ作用があり、アトピーの乾燥肌の防止作用があるわけです。
17. メシマコブ菌糸体:1000mg~2000mg/日
昆布の一種かとも思われがちな名前を持つキノコのメシマコブは、長崎の西方の沖合に浮かぶ男女群島の「女島(めしま)」に群生していました。この島に育つ野性の桑に寄生し、まるで〝木のコブ〝のように育つキノコであるところから、この和名(俗名)が付けられたとされていますが、 養蚕業の衰退とともに桑の木が減少したことなどもあり、現在は同地でも発見するのは難しいと言われています。 漢方では、古典である「本草網目」や「中薬大事典」、「中国薬用真菌」などの医学書や薬事辞典に記載され、「桑黄(そうおう)」と呼ばれて古い昔から薬として重宝されていました。
その菌糸体にはβ-グルカンの含有量が、他のキノコ類と比べて、抜群に多く重量比で20%以上も含まれています。 このβ-グルカンは免疫系の賦活・調整作用に優れており、アレルギー系の病気にもたいへん効果があります。 アトピーは皮膚のバリアー障害のみならず、免疫系の不調が深くかかわっていますので、β-グルカンは非常に効果があるのです。
またメシマコブの菌糸体には数多くのポリフェノールが含まれており、アガリクスなどの菌糸体に比べて、総量は20倍も含んでいます。 12種類(ヒメマツタケ、マイタケ、マンネンタケ、ヤマブシタケ、シイタケ、ハタケシメジ、ホンシメジ、カンゾウタケ、ヌメリスギタケモドキ、エリンギ、ナメコ、メシマコブ) のキノコ菌糸体培養成分を用いて調査した結果、メシマコブが最も高い抗酸化活性を示します。
18. イチョウの葉エキス:100mg~200mg/日
バイオフラヴォノイドの一種であるギンゴフラヴォン配糖体とテルペンのギンゴライドが微細な血管の血流を改善してくれます。 傷ついた皮膚の再生には真皮へのスムーズな血流が不可欠です。
また、イチョウの葉エキスに含まれているケンフェロールは、低分子量の酸化還元タンパク質チオレドキシンの産生を促し、紫外線による皮膚のダメージを防いでくれます。
脳では記憶力を増し、α波を増加させリラックス効果をもたらします。また動物実験ではドーパミンのレベルを上げることが確認されています。しかし、アトピー治療を本格的に始めたばかりの人は、イチョウの葉エキスを摂らないほうが無難です。肌への血流が増して、痒みがますことがあるからです。 ある程度、改善してから補った方が良いでしょう。
またアスピリンとは併用しないほうが無難です。血の流れがよくなりすぎて脳出血や眼底出血をおこすことがまれにあることが報告されています。 同じ理屈で、脳の血液循環が良くなりすぎますので、就寝前に摂ると、不眠をきたす恐れがあります。
19. ビタミンE:200 IU~400 IU/日
オメガ-3不飽和脂肪酸の、体内での酸化の可能性を防ぐために、エゴマオイルやフラックスシードオイルを摂るときに一緒に摂られたら良いでしょう。
α-、β-、γ-、Δ-の4種類のトコフェロールと、α-、β-、γ-、Δ-の4種類のトコトリエノール、計8種類のビタミンEが入った、ミックスタイプのものがすすめられます。
最近、ビタミンEの単独摂取はかえって心血管系の病気のリスクを増すという研究発表が相次いでなされています。この場合のビタミンEはα-トコフェロールのことです。 もし、α-トコフェロールだけをサプリメントで補うと、α-トコフェロールの血中濃度が増し、γ-トコフェロールの濃度が低くなることが知られています。 すると、酸化窒素によって発生するフリーラジカルの、γ-トコフェロールの消去能力が減少することになり、かえって生体には悪い影響がおこる可能性があります。
ラベルに注意して、α-トコフェロールだけのビタミンEのサプリメントは避けてください。 できればセレンやCoQ10といっしょに摂ることがのぞまれます。
20. N-アセチル-L-システイン
N-アセチル-L-システインは、N-アセチルシステインあるいは、単にアセチルシステインとも呼ばれます。これは、L-システインをアセチル化 (有機化合物にアセチル基CH3CO−を足す)したもので、体内への吸収がより高まっています。
L-システインは肌の代謝サイクルを正常化する働きが強く、シミ・肌荒れを改善するのにたいへん重要です。また、L-システインは、メラニン色素の生成を、ビタミンCとともに抑制します。さらに、できてしまったメラニン色素を無色へと還元する働きがあります。つまり、美白には不可欠なサプリメントなのです。
肝臓での解毒作用もありますから、衰えた肌の回復力を、体の中から復活させてくれる、素晴らしいサプリメントです。
優れた抗酸化作用もありますので、紫外線などによって生じた活性酸素を消去してくれます。
L-システインは体内でも合成されますが、年齢とともに、その量が減少してきます。したがって、吸収されやすい形のアセチルシステインを積極的に、補うことが大切です。
21. アスタキサンチン
サケやイクラのあの赤みを出している物質だといえばおわかりになるでしょう。ヘマトコッカスなる藻類に多く含まれている色素で、食物連鎖によって、藻類 → プランクトン→ オキアミ、サクラエビ → サケ、マスと取り込まれていきます。
その抗酸化作用はビタミンEの500~1000倍といわれています。 とりわけ、酸素が紫外線や放射線に反応してできる活性酸素である 「一重項酸素」の除去能力に優れています。
特筆すべきことは、アスタキサンチンは血液脳関門、および血液網膜関門を通り抜け、網膜や、脳の中に存在する神経に直接に達することができるということです(血液脳関門とは、最も大切な脳に不必要な物質が入り込まないように脳の毛細血管にはりめぐらされたフィルター機能と解釈して下さい。解剖学的に肉眼で見えるようなバリアーは存在しません。 血液網膜関門は、血液脳関門と同じような機能で、網膜を守っています)。ですからアルツハイマー病などの予防にもすすめています。
皮膚に関しては、紫外線による一重項酸素の発生で、皮膚の中にある脂質やタンパク質が酸化され、皮膚が損傷されるのを防いでくれることです。また、抗ヒスタミン作用があり、アトピー由来の痒みにもかなり効果があることがわかってきました。ラットによる実験ですが、100 mg/kg アスタキサンチンの抗炎症効果は10 mg/kg プレドニソロンと同じほどだということです。美白効果もあります。
22. ストレス対策用サプリメント
精神的ストレスほどアトピーを悪化させるものはありません。
これはある程度、仕方がないのですが、それを何とかサプリメントで防ぎたいものです。
モリンガ、腸溶性ラクトフェリン、ビタミンB群、ビタミン12などがすすめられます。
その他、一般的によく使用されるセントジョーンズ・ワート(西洋オトギリ草、あるいは、聖ヨハネ草)があります。
ストレスとは多少ニュアンスが異なるのですが、気分の落ち込み、あるいはふさぎ、デプレッションという状態があります。これも人間から活力を奪い、病気に対する抵抗力を奪います。ストレスと重複していることもしばしばあります。 特にひどいアトピーで、将来に何の希望も見えそうにないときに、こういう状態に落ち込みます。
精神的ケアが非常に必要な患者さんです。ケアとなるような指導をしてくれと自ら頼む若い患者さんもいます。
どこの薬局でも見つけられます。ふさいだ気分を高めてくれます。 しかも、その高めかたが、いわゆる「興奮」という状態でなく、ごく自然にやわらかく何となく全身に力が満ちてくるような高めかたなのです。 効果が感じられるまで4週間ほど服用しなければいけません。
副作用はありませんが、セントジョーンズ・ワートには、人体を光に対して敏感にならせることがときとしてありますので、服用後の日光浴などは避けたほうがいいでしょう。
また、このセントジョーンズ・ワートを摂るときには、抗てんかん薬、強心剤(ジゴキシン)、気管支拡張剤(テオフィリン)、血液凝固阻止剤(ワーファリン)、 免疫抑制剤(シクロスポリン)、などとの飲み合わせに注意してください。こういう薬を摂られているときは、必ず医師か薬剤師と相談してから、セントジョーンズ・ワートを使用するかしないか決めてください。
23. 水も大切なサプリメント
水は腸をきれいにし、あらゆるアレルギー疾患に有効です。特にアトピー患者さんの肌は乾燥しやすいので、体の中からも水分を補って下さい。
また便秘にも役立ちます。便秘が続けば肌によくないことは常識です。コンビニで売っているミネラルウオーターで良いでしょう。あるいは自宅の庭にいい天然の水が出る井戸があれば、その水でもかまいません。
水道の水には塩素や、微量の有害物質が浄化されないで残っていますので、水道の水をがぶ飲みするのはやたほうが無難です。
24. 抗アレルギー剤
医者が処方するIPD、リザベン、アレグラ、ホモクロルシクリジン塩酸塩、といった抗アレルギー剤は、いわゆる自然なサプリメントではありませんが、以上にあげたサプリメントではうまくいかないときは、ためらわず使用して下さい。副作用は軽度ですから、極端に恐れる必要はまったくありません。サプリメントの誤った使用より、はるかに安全で効果があります。
25. 寝ることも大切なサプリメント
最低7時間。できれば8時間。休みの日は半日でも寝て下さい。
睡眠不足が続くと、人体は体力保持のために血液を皮膚に流すのを後回しに、せっかく摂った栄養も皮膚に十分に行きわたらなくなってしまうのです。
また、眠っていなくても、けっこうです。体を横にしているだけでもいいのです。つまり、重力から体を解放することにも意義があるのです。
学校や勤務先が遠く、片道2時間もかかり、そのため睡眠時間が5~6時間という人はざらにいます。しかしこのような生活を続けているとアトピーは治りません。電車の中で眠っているといいますが、先に述べたように、体を横たえるということも必要なのです。
また夜ふかしはいけません。どんなに遅くとも11時時には床に着くようにして下さい。 同じ8時間睡眠をとるのであれば、夜1時に寝て朝9時に起きるより、夜10時に寝て朝6時に起きる方が、皮膚のためにはいいのです。
それは、成長ホルモンの分泌の関係からです。成長ホルモンは背丈をのばすだけでなく、傷ついた皮膚の修復を促します。そのためには、特に午後11時~午前2時あたりは眠ってほしいのです。
テレビゲームなどをして深夜まで起きていては、アトピーは絶対に改善しません。眠ること、体を横たえることによって皮膚は再生されるのです。それを忘れないでください。
アトピーは一種の生活習慣病でもあります。早寝早起き、低タンパク質、低脂肪の昔の日本人にはアトピーは皆無でした。
床に着いてもかゆくてとても眠れない患者さんには、就寝1時間ほど前に服用する抗ヒスタミン剤を処方することがあります。1年以上にわたり毎日服用し続けるのでなければ副作用の心配はさほどありませんから、適宜服用して下さい。
ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。
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