今日からはじめる!認知症予防
目次
認知症
認知症とは、脳の病気のひとつで、記憶力や判断力、思考力などが少しずつ低下していく病気です。
認知症になると、どんなことが起こるの?
- 物忘れがひどくなる: 最近あったことや、聞いたことをすぐに忘れてしまうことがあります。
- 同じことを何度も聞いてくる: 同じ質問を何度も繰り返したり、同じ話を何度もしたりすることがあります。
- 場所がわからなくなる: いつも行っている場所でも迷ってしまうことがあります。
- 言葉が出てこない: 言いたいことが言えなかったり、言葉がまとまらなかったりすることがあります。
- 性格が変わってしまう: いつも穏やかな人が怒りっぽくなったり、逆に無気力になったりすることがあります。
認知症の原因は何ですか?
認知症の原因は「脳の働きが弱くなる」ためです。
認知症は、脳の細胞が弱ったり死んだりして、脳全体の働きが悪くなる病気です。
たとえば、脳は家の電気配線のように、いろいろな部分がつながっていて、それぞれが仕事をしています。この配線が切れたり壊れたりすると、家の電気がうまく使えなくなるのと同じように、脳も正常に働けなくなるのです。
原因には大きく分けると2つあります。
脳の「細胞」がダメージを受ける病気
- アルツハイマー病 脳に「ゴミのようなもの」(アミロイドβやタウタンパク質)がたまって、脳の細胞を傷つけます。これが一番多い原因です。
- レビー小体型認知症
脳への「血流」が悪くなること
- 血管性認知症
脳梗塞や脳出血などで、血液が脳に届かなくなると、脳の細胞が弱くなります。
なぜ認知症が起こるのか?
- 年齢を重ねると脳が弱くなる
年を取ると体と同じように脳も少しずつ衰えてきます。 - 生活習慣が影響する
血圧が高かったり、糖尿病があったりすると、脳に負担がかかります。タバコやお酒の飲みすぎも脳に悪い影響を与えます。 - ストレスや孤独も原因に
長い間ストレスを感じたり、家族や友達と話す機会が少ないと、脳が元気を失ってしまいます。
つまり、『脳の「細胞」や「血流」が弱ることが認知症の原因なんだ』と理解してもらってよいでしょう。
そして、「生活を少し工夫」すれば、今からでも脳を元気に保つことができますので、しっかりと参考にしてみてください。
認知症を予防するためにできること
運動:体を動かしましょう!
散歩やラジオ体操など、簡単な運動を毎日続けることが大切です。
特に認知症予防に効果がある運動は、有酸素運動や筋力トレーニングを中心に、脳の血流を増加させたり神経細胞の活性化を促進するものです。また、バランスや柔軟性を鍛える運動も役立ちます。以下に具体的な運動をいくつか挙げます。
有酸素運動(酸素を取り込みながら筋肉を動かす運動)
- ウォーキング:
- 週に150分程度(1日30分×5日)を目安に歩くことが推奨されています。
- リズムよく歩くことで脳の血流が改善され、記憶力や集中力を高めます。
- サイクリング:
- 室内バイクや野外でのサイクリングは、心肺機能を高めつつリラックス効果も得られます。
- スイミング:
- 全身を使う有酸素運動で、心肺機能や血流改善、ストレス軽減に効果があります。
2. 筋力トレーニング
- スクワット:
- 太ももの筋肉を鍛える運動は、体力向上とともに脳の活性化に寄与します。
- 軽いダンベル運動:
- 手や腕の筋力トレーニングを行うことで、全身の血流が良くなり脳機能の維持に役立ちます。
- プランク:
- 体幹を鍛えることで、姿勢改善や全身の血流促進が期待できます。
3. 複合的な運動
- ダンス:
- 音楽に合わせて体を動かすことで、身体的な運動と脳の記憶力、判断力を同時に刺激します。
- 特にグループで行うダンスは、社会的な交流も加わるため効果的です。
- ヨガやピラティス:
- 柔軟性やバランス感覚を高め、ストレスを軽減することで脳の健康をサポートします。
- 太極拳:
- ゆっくりとした動きと呼吸法を組み合わせた運動は、集中力とバランス感覚を鍛えます。
認知機能を刺激する運動
- デュアルタスクトレーニング:
- 歩きながら簡単な計算をしたり、しりとりをするなど、身体と脳を同時に使うトレーニングです。
- 認知症予防効果が高いとされます。
- ラケットスポーツ(テニス、卓球など):
- ボールの動きを追いながらプレーすることで反応速度や判断力を鍛えます。
バランス運動
- 片足立ち:
- バランス感覚を鍛える簡単な運動で、脳の認知機能を刺激します。
- 階段の昇降運動:
- 日常生活に取り入れやすく、足腰を鍛えるとともに心肺機能を高めます。
< ポイント >
- 運動は「無理のない」範囲で始め、少しずつ時間や強度を増やすことが大切です。なによりも続けることが重要です。
- 継続が重要で、週に3回以上行うと効果が高まります。
- グループでの運動やレクリエーションも社会性を高め、認知症予防に役立ちますよ!
脳トレ:頭を使おう!
趣味やゲーム、昔の話を家族とするのも脳の元気を保つのに役立ちます。
とはいえ、それがストレスになっては本末転倒ですので、「楽しく」「毎日」「続けられる」自分に合ったものを見つけましょう。
最近では、タブレットなどの携帯端末なども普及して、手軽に「アプリ」を入手することができるようになりました。「脳トレアプリ」で検索すると、様々なアプリが無料で楽しめますので、どんどん活用して楽しみながら脳のトレーニングにチャレンジしましょう。
※文末に人気のアプリをご紹介します
記憶力を鍛えるトレーニング
- 数字や単語の記憶:
- 数字や単語のリストを読み上げて覚え、数分後に思い出す練習。
- 例:3つの単語(リンゴ、車、時計)を記憶し、少し後に思い出す。
- 場所や物の記憶:
- 家の中で物を隠し、その位置を覚えるゲーム。
- 外出先で新しい場所を訪れた際、その特徴を覚えて帰宅後に思い出す。
2. 計算や論理的思考を鍛えるトレーニング
- 暗算や簡単な計算:
- 日常で出会う数字を使って暗算する。
- 例:買い物中に商品の合計金額を計算。
- 数独やクロスワードパズル:
- 論理的な思考を促進するパズルゲーム。
- 数字や単語を使うことで脳の活性化を図る。
- アルファベットや数列の穴埋め:
- 規則性のある列を完成させる問題(例:1, 2, __, 4, 5 → 3)。
3. 認知機能を活性化する運動と組み合わせたトレーニング
- デュアルタスク(2つの課題を同時に行う):
- 歩きながら計算問題を解く。
- 例:その場で足踏みをしながら「100から7を引く」を繰り返す。
- リズムに合わせた動作:
- 手拍子をしながら左右の手で違う動作を行う(片手はグー、片手はパーを交互に繰り返す)。
4. 語彙力や創造力を高めるトレーニング
- しりとり:
- 頭文字を次につなげる言葉を考える。
- 時間を短縮したり、特定のテーマを設けて難易度を調整。
- アナグラム:
- 与えられた文字を並べ替えて新しい単語を作る。
- 例:「さくら」→「さかい」など。
- 文章作り:
- 決められた単語を使って短い文章を作る。
- 例:「猫」「空」「青」を使って物語を作る。
5. 集中力を鍛えるトレーニング
- 間違い探し:
- 似たような絵や写真から違いを見つける。
- 観察力と集中力を向上。
- 迷路やパズル:
- 紙やアプリで迷路を解く。
- 問題解決能力と集中力を養う。
- 注意力を刺激するゲーム:
- 特定の条件に合う物や数字だけを選ぶトレーニング。
- 例:「2の倍数だけに丸をつける」など。
6. 日常生活を活用したトレーニング
- 買い物リストを覚える:
- 買う予定の品物を覚えて、メモを見ずに買い物をしてみる。
- 料理のレシピを覚えて作る:
- 簡単なレシピを記憶して、その通りに調理。
- 新しいルートでの移動:
- 日常の通勤や散歩で異なる道を選ぶ。
- 道順や新しい景色を覚えることで脳の刺激に。
7. 脳の柔軟性を高めるトレーニング
- 逆順での思考:
- アルファベットや数字を逆順に言う(例:「12345」を「54321」と言う)。
- 新しい趣味を始める:
- 楽器、絵画、編み物など、未経験の活動に挑戦。
- 新しいスキルを学ぶことで脳を刺激。
- 非優位手を使った作業:
- 利き手ではない手で文字を書く、歯磨きをするなど、普段と異なる手を使う。
8. 社会性を伴うトレーニング
- グループ活動:
- サークルやクラブでの交流。
- 他人と会話することで脳を活性化。
- クイズ大会やカードゲーム:
- 家族や友人と一緒に楽しむ知的なゲーム。
< ポイント >
- 継続性が大切:
- 短時間でもいいので、毎日続けることが認知機能の維持に重要です。
- 楽しさを重視:
- 無理なく楽しめる活動を選ぶことで、長続きしやすくなります。
- バリエーションを持たせる:
- 同じトレーニングだけでなく、複数の方法を組み合わせて脳に新たな刺激を与える。
人気の「脳トレ」アプリのご紹介
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食べ物:バランスのよい食事をしよう!
バランスの良い食事(医食同源と言われるように、バランスの取れた食事は、認知症だけでなく、すべての健康の源です。
認知症予防になる食事は、脳を健康に保つために必要な栄養素を含むバランスの良い食事です。以下に、具体的な食事内容をわかりやすくご紹介します。
魚を中心にした食事
【おすすめ理由】青魚(サバ、イワシ、サンマ、サケなど)には、DHAやEPAという「オメガ3脂肪酸」が豊富に含まれています。これらは脳の細胞を守り、認知症のリスクを下げると言われています。
【例】焼き魚、魚の煮付け、刺身など。
野菜をたっぷりとる
【おすすめ理由】緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、ニンジンなど)や葉物野菜(キャベツ、小松菜など)に含まれる抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE)が脳の老化を防ぎます。
【例】サラダ、煮物、スープ。
ナッツ類や種子類
【おすすめ理由】アーモンドやクルミ、カボチャの種には、ビタミンEや良質な脂質が含まれ、脳の健康を保つのに役立ちます。
【例】間食としてそのまま食べたり、サラダのトッピングに。
フルーツを毎日取り入れる
【おすすめ理由】ブルーベリーやイチゴなどのベリー類には抗酸化物質が多く、脳の機能をサポートします。また、バナナやリンゴもビタミンやミネラルが豊富です。
【例】デザートやスムージー。
オリーブオイルや良質な油を使う
【おすすめ理由】オリーブオイルにはポリフェノールが含まれており、脳の炎症を抑える効果があります。サラダ油よりも健康的です。
【例】ドレッシングや炒め物にオリーブオイルを使用。
大豆製品を取り入れる
【おすすめ理由】豆腐や納豆、味噌などの大豆製品にはイソフラボンが含まれ、脳の健康に良い影響を与えます。
【例】味噌汁、冷ややっこ、納豆ごはん。
全粒穀物を選ぶ
【おすすめ理由】玄米や全粒粉のパンには、脳のエネルギー源となる炭水化物やビタミンB群が多く含まれています。
【例】玄米ご飯、全粒粉のパン。
乳製品を適度に
【おすすめ理由】牛乳やヨーグルト、チーズにはカルシウムやタンパク質が豊富で、脳の神経伝達を助けます。
【例】朝食のヨーグルト、間食のチーズ。
避けたほうがよい食べ物
- 加工食品:ソーセージやハム、スナック菓子など、塩分や脂肪分が多いものは控えめに。
- 糖分の多い食品:ケーキやジュースなど、血糖値を急激に上げるものは避ける。
これらのバランスの良い食事は「続けること」が何よりも大切です。
完璧を目指して挫折してしまうよりも、1品だけでも取り入れて、無理なく自分のペースで続けてゆけば、それは必ずあなたの未来の健康に繋がりますので、是非とも今日から始めましょう。
(参考リンク)
認知症予防に役立つレシピ
https://www.my-kaigo.com/pub/individual/recipe/theme-ninchi/
サプリ:脳に良い栄養素をサプリメントで補う!
当クリニックには、もっと積極的に脳に良いものを摂りたい、食事ですべての栄養素をとるのは大変なので認知症用のサプリメントを教えて欲しいなど、患者様や一般ユーザーの方々からのお問合せが多く寄せられます。
医薬品ではフェルガードⓇというサプリメントが臨床試験で良好なエビデンスがあり、良いものではあるのですが、残念ながら医師の診断が必要なのと、市販での購入することはできません。
そのような皆様からのご要望で、処方箋が不要な気軽に始められる「脳活サプリ」という、ドクターズサプリメントをお作りしました。
インターネットからご購入頂けますので、手軽にスグに始めたいとう方はお試しください。
(詳しくはこちら)
会話:沢山の人とコミュニケーションをとろう!
家族や友達と会話することで、心も脳も元気になります。人と会話すること自体が、相手の話していることを認識して理解し、自分が話すことを考えまとめて言葉に出す、という一連の動作が必要であり、認知症予防に効果的と言われています。
2011年にアメリカで発表された『長寿プロジェクト』(1921年に開始された児童の性格や生活習慣が寿命に与える影響を80年にわたって追跡調査した)では、人と話すことで築かれる社会的つながりが、健康と寿命に良い影響を与え、特に、他者と良好なコミュニケーションや信頼関係があると、ストレス軽減や精神的安定して長寿につながる重要な要素であると結論づけられています。
認知症は誰でも発症する可能性があり、すべての皆さんとって心配される病気ですが、毎日の生活をちょっと工夫するだけで、今から予防や進行を遅らせることができます。
これまでの生活習慣を今一度ひとつずつ見直して、健やかで穏やかなセカンドライフを過ごして頂きたいと願っています。
認知症は治る病気ですか?
現在のところ、認知症を完全に治す薬はありません。しかし、薬を服用したり、リハビリテーションを受けることで、症状の進行を遅らせたり、日常生活を送ることをサポートすることができます。
認知症になったらどうすればいいですか?
認知症と診断されたら、一人で悩まずに、かかりつけ医や専門の医療機関に相談しましょう。
- 早期に発見することで、適切な治療を受けることができます。
- 家族や周囲の人も、認知症について正しく理解することが大切です。
地域の支援サービスを利用することで、安心して生活を送ることができます。
医師からのアドバイス
認知症は、決して恥ずかしい病気ではありません。早期に発見し、適切な治療を受けることで、本人だけでなく、家族も安心して生活を送ることができます。もし、ご自身が気になる症状を感じたり、ご家族が認知症かもしれないと心配な場合は、一人で悩まずに、医療機関に相談しましょう。
参考資料
免責事項: この情報は医師によって監修された情報でありますが、個別の医療アドバイスとして解釈されるべきではありません。ご自身の健康状態についてご心配な場合は、必ず医師にご相談ください。