結節性痒疹(けっせつせいようしん)とは?
硬い芯があり、イボのようにブツブツした、眠れない程のひどい痒みを伴う皮疹(痒疹)は、重症のアトピー患者さんに時々見られていましたが、最近ではアトピーとは何ら関係なく、単独に発症する症例が非常に増えてきています。その多くは、手足の「虫刺され」から始まって、それが次第に体幹(頭や四股を除く胴体部分)にまで広がり、1つの発疹や痒みが治まったかと思うと、また別の場所に出るという事を繰り返しながら、最悪の場合は全身にまで広がります。 アトピーと併発することがあっても、アトピーとは基本的に違った病気であり、虫刺されによるアレルギー反応、あるいはウイルスが関与しているという観点から治療にあたるようになってから、当クリニックでは非常に優秀な治療成果が上っています。
結節性痒疹治療の現状
最近、結節性痒疹でプレドニン(プレドニゾロン)を3年という長期間、毎日服用してムーンフェイスになっている患者さんを診察しました。 ご本人もステロイド服用の副作用だとよく理解されておられながら、それを止めると再び全身にできてくるためにプレドニンをやめられず苦しんでおられました。 また、代替療法を行う病院では、患者さんを「遠赤外線サウナ」に入れ、そのあと強いステロイド軟膏を塗り、その上にモクタール軟膏を重ね塗りしてガーゼで密封するという治療を行なったりします。 たしかに、3週間程度でかなり改善します。しかし、残念なことに普段と変わらない日常生活をおくりながら、こういった治療を続けられないという事や、一時的に改善しても「ほぼ100%再発してしまう」というのが現状です。
一般的な結節性痒疹の治療
2023年6月、結節性痒疹の患者さんにデュピクセントが使えるようになりました。これは画期的なことで、今まで結節性痒疹の患者さんはなかなか良い治療がなく難渋する病気でした。デュピクセントは、「IL-4」と「IL-13」という物質の働きを直接抑えることで皮膚の炎症反応を抑制するお薬です。結節性痒疹に対しては、通常、成人には初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与します。 注射1本の薬価は約53,659円(2024年11月の値下げ後)。3割負担の場合は1本あたり約16,098円になります。投与スケジュールは初回のみ2本、その後は2週間に1本ずつなので、おおよそ初月は約48,000円、2か月目以降は毎月約32,000円ほどの自己負担となります(診察費別途)。
ミチーガ皮下注用30mgバイアルは2024年6月より販売が開始され、既存治療で効果不十分な結節性痒疹への適応が認められています。結節性痒疹では、通常、成人および13歳以上の小児には初回に60mgを皮下投与し、以降30mgを4週間の間隔で皮下投与します。IL-31受容体を標的とし、痒みのシグナルを直接抑えるという、これまでにない作用機序を持つ薬です。 結節性痒疹の場合は、初回60mg→以降30mgを4週ごとという投与スケジュールです。薬価は60mgシリンジが約116,426円/本、30mgシリンジが約67,112円/本です。3割負担では、60mgが約34,928円/本、30mgが約20,134円/本の薬剤費となります。 つまり結節性痒疹では、初回月が約35,000円、2か月目以降は月1回の注射で約20,000円程度が目安です。
結節性痒疹で摂取をひかえたいサプリメントや食材
ここで少し、結節性痒疹の回復を妨げる栄養素について解説しておきます。まず、結節性痒疹にはビタミンCは禁物です。一見、皮膚には良さそうな印象を持つビタミンCですが、かえって症状を悪化させてしまいますので、サプリメントでビタミンCを摂っておられる方は注意が必要です。また、鉄分の多いヒジキ、プルーン、ほうれん草なども控えましょう。一般的に、鉄の過剰摂取は皮膚に悪影響を及ぼします。血液検査で「貧血」と診断されていない限り、鉄のサプリメントは摂らないようにしてください。なお「立ちくらみ」や「顔面蒼白」といった症状は、貧血が原因でない場合も多くあります。そういった自覚症状がある場合は、安易な自己診断をせず、早めに血液検査をなさってください。
ステロイドは本当に悪なのか?
牧瀬クリニックでの結節性痒疹の治療
健康保険適用内では、デルモベートやダイアコートといった「ストロンゲスト(最強)」ランクのステロイド軟膏が処方されますが、結節性痒疹の痛烈な痒みはそれらの軟膏ですら歯が立たないことがあります。そこで当クリニックでは、ステロイド軟膏に遠赤外線を出す天然石の微粉末を混ぜ、さらに数種類のビタミンやハーブエキスを配合した結節性痒疹専用の特別なMAS⑴軟膏を作りました。これを使うと、ナローバンドUVBによる紫外線療法でうまくいかなかった痒疹でも非常に改善します。
アトピー治療の場合とは種類も量も異なり、基本的にはビオチン、フラックスシードオイル、銅、セレン、ビオスリーなどを使用しますが、患者さんの状態に応じて調整します。また、最初の3か月ほどは抗生剤を併用することで治りが早くなります。なかでも、マクロライド系抗生剤のエリスロシン(エリスロマイシン)を足すと非常に効果的です。しかしエリスロシンは近年製造中止となり、現在は入手できない状況です。同じマクロライド系のアジスロマイシンはまだ製造・流通しており使用可能ですが、不思議なことに、少なくとも結節性痒疹に関してはエリスロシンと比べると効果が薄いというのが、実際に患者さんにお使いいただいた後の実感です。現在、エリスロシンに代わる最適な選択肢を模索しながら治療にあたっています。
牧瀬クリニックでの結節性痒疹の改善例
当クリニックで実際に治療を受けられた患者さんに承諾をいただいて、治療の経過を掲載させていただいております。治療の相談をしようかどうか迷っておられる方や、現在治療中で思うような改善が見られない方々のご参考や励みになれば幸いです。
患者さんからのご相談のメール
症例 R.T. 女性、46才、専業主婦 アトピー性皮膚炎以外特記すべき既往歴なし
8/12 蚊にさされる
8/16 湿疹が出だす
8/17 ダニかと思い、市販の虫刺されの軟膏とかゆみ止めを服用
8/20 悪化するので皮膚科に行き、蚊にさされた事によるアレルギーと診断される
ベタメタゾン錠0.5mg を朝晩
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg を朝晩
ビーソフテンクリーム0.3%+アンテベートクリーム0.05%を全身
2018年8月25日:ご相談時の状態。発疹が日毎に増え、痒みも非常にひどい状態でした。

2018年9月4日:治療開始して10日経過。かなりの改善がみられる。発疹の数は減少し、痒みは消えて精神的にも楽な状態になる。


2018年9月24日:20日経過。発疹の赤みも減り、大きな発疹跡が随分と薄くなる。


2018年10月23日:30日経過。痒みや再発の兆候は一切無く、発疹の跡はほとんど目立たなくなった。


2019年1月22日:3ヵ月経過。発疹跡は完全に消え、再発の兆候も見られず、非常に綺麗に完治しました。


<治療記録>
こちらの患者さんは、大阪在住でいらっしゃいましたので、当クリニックに診察に来ていただきました。診察の結果から、今回は抗生剤も同時に摂っていただきました。抗生剤は医薬品となりますので、実際に診察した患者さんにしか処方できませんが、治りが早かった要因のひとつであったと思います。
また、結節性痒疹は治療が遅くなると、年単位の時間を要します。症状が出てすぐに当方にご相談を頂き、速やかに治療を開始できたことも良かったように思います。
本ページで掲載されております症例のメールや患部の画像は、同様の症状で苦しんでおられる方々の治療の励みになればと、患者さんのご厚意によってご提供いただきました。
結節性痒疹は治療の難しい疾患ですが、適切な治療の開始が早ければ早いほど、完治までの時間も短くなります。なかなか治らない、痒みで眠れずつらい思いをなさっている方は是非お早めにご相談ください。
遠方の方、対面での診察に抵抗のある方、ご多忙な方向けに、インターネットからのご相談を受けております(無料)。軟膏、サプリメント等をご希望の方、当クリニックの治療をご希望の場合は、まずはご相談フォームからご相談下さい。
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