イワシに含まれるタンパク質から得られる、オリゴペプチド(10個以下のアミノ酸が結合した小さなペプチド)のバリルチロシンには、前のページに述べたアンギオテンシンⅠからアンギオテンシンⅡに変換する酵素の活性を阻害する作用があります。それに、よってACE阻害薬やARBに似た効果をもたらし、血圧をさげてくれます。 

もっとも、イワシをたくさん食べたからといって、バリルチロシン がたくさん得られるというわけではありません。特別な製法で、イワシのタンパク質を分解してえられます。読者の中にはACE阻害薬のカプトプリル(一般名カプトリル)などをすでに服用している人がおられるかもしれません。その場合、バリルチロシンとカプトプリルの構造が似ているために、腸管からの吸収時点で拮抗阻害が起こる可能性があり、カプトプリルの作用が弱まることがあります。また、まれですがACE阻害薬の特徴的副作用である空咳がでることも否定できません。 ケルセチンとこのイワシのペプチドを一緒に摂取すると、各々単独で摂るより降圧効果があるようです。中国の広州にある華僑の最高学府と呼ばれる曁南(じなん)大学の研究者たちが発表しています。
<参考リンク>:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S096399691730340X?via%3Dihub(英文)
ケルセチンは、先に書きましたように月桃に多く含まれていますから、イワシのペプチドを摂るときは、月桃もいっしょに摂られたら良いでしょう。

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