降圧剤を服用したり、あるいはここに述べたサプリメントを摂り、かつ、運動をしても、少しも血圧が下がらない場合のために、以下の二次性高血圧の知識をお持ちください。
1.腎臓そのものの病気
糸球体腎炎、糖尿病性腎炎、痛風腎。これらは、高血圧をひきおこします。
2.腎血管性高血圧
腎動脈の狭窄や閉塞による高血圧です。全高血圧患者の約1%といわれていますが、本当は5%くらいではないかと推測されています。35才以下で高血圧、しかも高血圧の家族歴がなければ、このタイプの高血圧の可能性があります。これに気づくには、医者の、特に背中の腰のあたりの聴診と触診が重要です。
20~40代の女性であれば、「線維筋性異形性」による腎血管性高血圧も考慮してください。また、「大動脈炎症候群」の場合もそうです。
この腎血管性高血圧と次の原発性アルドステロン症の場合、拡張期血圧のみが高値 のことがよくありますので、患者さんのほうが覚えておいてください。
3. 内分泌性の病気:原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群など。
a)原発性アルドステロン症
副腎皮質球状帯の腺腫や過形成でおこる病気です。かなり多く、推定400万人ほど罹患しているといわれています。したがって本態性高血圧と誤診されている例がかなりあるかもしれません。
突発性に高血圧となり、160/100 mmHg以上、降圧剤を服用しても130/85mmHg以下には下がらない、3種類の降圧剤でも下がらない、20〜30代で高血圧を発症、夜中に何度もトイレに起きる、—– 思い当たることはないでしょうか?しかも、血液検査でカリウムの値が低い。それでも、主治医が相変わらず降圧剤を出し続けるのであれば、すぐに医者を変えるべきです。そして、レニンやアルドステロンといったホルモンの値を調べてもらってください。(*レニン・アルドステロンを検査するとき、患者さんが、ACE阻害薬、ARB、利尿薬、β遮断薬などを服用されていれば、それらの薬は2週間休薬してからです。その休薬中にどのように血圧をコントロールすべきかなどは、高血圧専門医の知識が必要です。したがって、こういう検査は大学病院レベルのところで受けられたほうが無難です)
原発性アルドステロン症の患者さんは本態性高血圧と比べ、心筋梗塞、心房細動、脳卒中などのリスクが非常に高く、危険な高血圧です。
しかし、原発性アルドステロン症は、ほとんどが良性で、手術(しかも腹腔鏡下副腎摘出術で、開腹の必要がありません)で簡単に完治します。要は、医者がそれに気づくか気づかないかです。
* 偽性アルドステロン症
甘草を含む漢方薬を長期にわたって服用していると、アルドステロンは増えていないのに、原発性アルドステロン症のような症状を示します。漢方薬をのんでいて、原因不明の「脱力感」、「手足のしびれ」、「こわばり、つっぱり感」、「頭痛」、「むくみ」、そして「高血圧」などが現れたら、偽性アルドステロン症も疑ってください。漢方薬は副作用がないなんて、たいへんな誤解です。注意してのまないから、余計にしまつが悪いのです。
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