11. セレン(セレニウム):50μg~200μg/日

このあまり耳慣れないミネラルは、栄養学の見地からは1957年に始めてその必要性が認められ、30年ほど前からぼつぼつと話題になり始めました。そして、近年とみにその有効性が強調されるようになってきました。それまではむしろ有害な物質としてのみあつかわれてきたので、サプリメントとして初めて聞くという人がいらっしゃると思われます。

このセレンは、SODと並んで非常に大切な高分子抗酸化剤であるグルタチオン・ペルオキシダーゼという酵素に不可欠なものなのです。この酵素を構成するにあたり、セレンが必要です。したがってセレンが欠乏すると、当然、活性酸素やフリーラジカルに対する防御が整わず、いろいろな局面で細胞は不利な事態に追い込まれるわけです。
こと、アトピーにセレンのサプリメントをすすめるのは、以上の抗酸化作用のみならず、その解毒作用です。どんな病気でも、治療を効果的にするには、「まず解毒ありき」なのです。 ですから、解毒に主眼をおくサプリメントセット2にセレンを入れています。砒素、鉛、水銀、銅、カドミウム、といった金属の解毒にセレンは有効なのです。
特に化学物質によるアレルギーに効果があり、白内障の予防効果もあります。アトピー患者さんは、若いうちから、白内障をおこしやすい傾向があります。

また、甲状腺ホルモンを活性化させます。2種類の甲状腺ホルモンがあります。通常、T4、T3と略されます。 T3は活性型で、T4から変換されてT3ができますが、この代謝には三つの酵素がかかわっています。そのうちの一つ、 Ⅰ型ヨードサイロニン脱ヨウ素酵素はセレンを含むセレノシステインというアミノ酸が含有されているのです。その酵素がうまく働くにはセレンが必須なのです。活性型の甲状腺ホルモンT3が不足すると、アトピーに悪影響を及ぼします。

足指の爪のセレン含有量は長期にわたりどのくらいのセレンを摂取したかの最も正確な指標になるのですが、オランダのリムブルグ大学の研究では、この量が最も高い人たちは、 低い人たちに比べて50%も肺がんの罹患率が低かったそうです。

セレンをサプリメントからどのくらいにすればいいかというのは、けっこう難しい問題です。というのは、セレンをぼくたちは普通の食事からどのくらいとっているか、まったくわからないからです。
セレンを多く含んでいるのは、魚介類(特に鰯、公魚、鮪、浅蜊、牡蛎、桜海老、雲丹)、ニンンク、ねぎ、小麦、胚芽、玄米、ぬか、こうじ、レバー、牛肉、などですが、それらのセレン含有量は、それらが育った水質、土壌、また牛肉であればその牛のえさとなった牧草が生えている土地のセレン含有量に依存しているからです。したがって、神戸肉と松阪肉は、同じ一切れでも、セレンの含有量がちがっているはずです。一般的には、酸性雨や、石炭、石油の化石燃料の使い過ぎで、現代の土地はセレンの含有が少なくなっているようです。

ぼくのクリニックでは非常に多くの病気に、日に200μg、夜に内服するようすすめています。理由はよくわからないのですが、朝よりも、夜間に摂取した方が、いっそう効果があるようです。

セレンをとり過ぎると、爪の変形、脱毛、頭痛、めまい、吐き気、不眠、ニンニクに似た体臭、ふけの異常増加、口の中に異常な(特に金属のような)味が残るというようなことがおこることがあります。それはセレン過剰の兆候ですから、サプリメントをとるのはしばらくひかえたほうが賢明です。
妊娠中は医師の指導を受けないかぎり、さけたほうが無難です。
ブラジルナッツには特に大量のセレンが含まれているといわれています。それはブラジルのジャングルの土壌が世界で最もセレン含有量が高いからです。たった一個に100μgのセレンが含まれているそうです。しかし、日本ではなかなか入手できませんので、インターネットで購入されるといいでしょう。

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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