8. α-リポ酸:50mg~300mg/日

α-リポ酸は1937年にジャガイモから発見され、1980年代に抗酸化物質としての重要性が認識されました。人体では少量しか産生されず、食物からの摂取も困難であり、サプリメントでの補給が推奨されます。特筆すべきは、水溶性・脂溶性の双方を持つこの物質が、ビタミンC、ビタミンE、CoQ10、グルタチオンなどの抗酸化物質のリサイクルを促し、抗酸化ネットワークの中心的役割を果たすことです。

α-リポ酸は細胞の放射線被害予防や回復、遺伝子の発現調節にも役立つとされています。特にフリーラジカルによる活性化を抑制する作用は、抗酸化物質の中でも最も強力とされています。

しかし、α-リポ酸にはのどへの刺激があるため、オブラートで摂取することが推奨されています。また、新型のリポ酸であるr-リポ酸の摂取には注意が必要で、ビオチンの同時摂取が推奨されています。

9. ビタミンC

ヒトとチンパンジーは、グロノラクトンオキシダーゼという酵素をもっていないため、体内でビタミンCをつくる能力がありません。 他の哺乳動物、たとえば犬、猫、ライオンなどは、自分の肝臓でビタミンCを合成することができます。昔、ぼくはビタミンCをかなり大量に患者さんにすすめていましたが、使い方の非常に難しいビタミンであることに気づき、最近は必要最低限にとどめています。

しかし、うまく摂れば、非常に効果のあるビタミンであることには間違いありません。 なぜなら、強い抗酸化作用があるととともに、副腎でのコルチゾール(ステロイドホルモン)の分泌を促します。 このステロイドホルモンは自分のホルモンですから、副作用なしに安全に炎症を止めてくれます。
また、皮膚にとって極めて大切なコラーゲンの生成にビタミンCは必須です。まず、プロリンなるアミノ酸が、ビタミンCの存在で、ヒドロオキシプロリンに変化しなければいけません。 このヒドロオキシプロリンが、コラーゲンの前駆物質である、構造の不安定なプロトプロコラーゲンの鎖をより合わせて、コラーゲンとするのです。

昔は、維持量として、日に2g摂るようにすすめていましたが、今はすすめていません。
なぜなら、今、多くの加工食品には抗酸化剤としてビタミンCが添加されており、それらを毎日食べているわけで、現代人は、知らないうちにかなりの量のビタミンCを摂っているからです。

皮膚に一番良くないケースは、鉄のサプリメントをビタミンCと一緒に摂っているケースです。 鉄の過剰摂取は肌に決してよくなく、ビタミンCは鉄の吸収を促します。しかし、野菜や果物から摂るビタミンCは気にしなくて結構です。 ただし、鉄分の多いプルーン、ホウレンソウ、ヒジキなどはひかえた方が賢明です。

10. セレン(セレニウム):50μg~200μg/日

セレンは、1957年に初めて必要性が認められ、近年その有効性が強調されています。
このミネラルは、高分子抗酸化剤であるグルタチオン・ペルオキシダーゼの生成に必要で、その抗酸化と解毒作用からアトピー治療に役立つとされています。また、甲状腺ホルモンの活性化や化学物質アレルギーの軽減、白内障予防にも効果があるとされています。しかし、摂取量は慎重に管理するべきで、過剰摂取は爪の変形や脱毛、頭痛等の症状を引き起こす可能性があります。セレンは魚介類や牛肉、玄米等に含まれていますが、水質や土壌の状態によって含有量は異なるため、牧瀬クリニックでは非常に多くの病気に、日に200μg、夜に内服するようすすめています。
ブラジルナッツは特にセレンが豊富なので、ナッツの方が良い方はインターネットで購入されるといいでしょう。

11. ビタミンD3:1000 IU~2000 IU/日

ビタミンDは、動物性食品からコレステロール型が体内に取り込まれ、紫外線と肝臓・腎臓の作用により活性化されます。多くの現代人が不足し、特に和食中心のアトピー治療ではその傾向が強まります。ビタミンDは高血圧、骨粗鬆症、がん予防、不眠症に効果があり、アトピー改善にも欠かせません。カテリシジンという抗菌ペプチドの生成に必要で、アトピー患者の伝染性膿痂疹防止に役立ちます。また、妊娠中の摂取は子供の喘息・アトピーリスクを減らす効果がありますが、過剰摂取は避けるべきです。アトピー患者さんは、体内のカルシウムイオンとリンイオンのバランスが崩れている人が多いようです。この理由の一つに副甲状腺機能の低下があります。副甲状腺が正常に働くには、ビタミンDが必須なのです。特にビタミンDが不足気味の人(たとえば、長年、菜食主義でとおしてきた人など)は、できれば、最初の1週間~10日間は5000 IUほど摂られることをすすめます。

12. 亜鉛:15mg~30mg/日

亜鉛は皮膚や前立腺の健康、糖尿病の管理に欠かせないミネラルで、特にコラーゲンの再生やウイルス対策、重金属の解毒に有効です。アトピー患者の皮膚修復や免疫力強化にも役立ちます。ただし、亜鉛摂取は銅の不足を招く可能性があるため、サプリメント選びは亜鉛と銅のバランスを考慮し、Zinc MonomethionateやZinc Picolinate形態のものが良いです。適度な摂取が大切で、100mg以上は乾燥肌を引き起こす場合があります。肝炎患者やキャリアは摂取を控え、医師に相談すべきです。亜鉛の血中の値は簡単に調べられますが、普通の会社の健診で、亜鉛の血中値は調べません。 しかし、ALP(アルカリフォスファターゼ)は頻繁に調べられています。もし、ALPが基準値より低ければ、亜鉛やマグネシウムの血中濃度が低いかもしれません。 2~3ヶ月サプリメントから亜鉛やマグネシウムを補給してください。

13. コラーゲン:500mg~1000mg /日

“皮膚はコラーゲンで出来ている”といっていいほど多くの部分(真皮の繊維成分の約70%)が、コラーゲンからつくられています。紫外線や活性酸素などのストレスによって ダメージを受けたコラーゲン繊維は、新陳代謝によって どんどん新しいコラーゲンにつくり変えられます。
アトピー患者さんの皮膚ではコラーゲンの生成が十分に行なわれていないことが多いのです。コラーゲンが不足すると、肌の保水性が悪くなり、かさかさと乾燥肌になります。そして、特に MMP1遺伝子に変異のある場合、不必要にコラーゲンが分解されてしまいます。アトピー患者さんのうち少なくとも1割にはこの遺伝子に変異があるようです。
コラーゲンのサプリメントを摂っても、コラーゲンの分子が大きいので、吸収されず、まったく意味がないというような意見をよくききます。腸から吸収されるには、いったんアミノ酸までに分解され、その時点ではコラーゲンでなくなっているということですが、コラーゲンを構成するヒドロオキシプリンというアミノ酸は、普通の食物には含まれていません。したがって、ヒドロオキシプリンを含んでいるコラーゲンのサプリメントを摂ることは、無意味ではありません。実際に患者さんに摂ってもらうと、乾燥が和らぐ人がかなりおられ、特に、秋から冬にかけて皮膚が乾燥しやすい時期には、コラーゲンのサプリメントを足されたらいいでしょう。

14. ヒアルロン酸:50mg~150mg/日

ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸という二つの糖が交互に結合したゼリー状の物質で、皮膚、目、関節などに広範囲に存在します。皮膚に関しては、水分の保持です。また、メラニン色素を取り除き、皮膚の深くまで栄養分を行き渡らせる作用もあります。真皮にヒアルロン酸は多く含まれており、コラーゲンやエラスチンといったタンパク質とともに、肌のみずみずしさと弾力性をたもちます。特にアトピー患者さんは皮膚の乾燥が激しく、その乾燥を防ぐだけでも、かなり改善されます。

加齢によってもヒアルロン酸は減少していき、特に40歳前後から急に減ってきます。
また、代謝される速度もコラーゲンなどと比べると、ヒアルロン酸は非常に速く、不足がちになります。ヒアルロン酸が有効に働くにはコラーゲンが必要ですので、多くのヒアルロン酸のサプリメントにはコラーゲンも配合されています。牧瀬クリニックで処方するヒアルロン酸のサプリメントにもコラーゲンが含まれています。

また、ヒアルロン酸とコラーゲンは、プロテオグリカンの摂取によっても、体内で増えますので、一緒に摂られてもよいでしょう。

15. 還元型グルタチオン:500mg~1000mg/日

グルタチオンは、三つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)から成るトリペプチドで、強い解毒作用を示します。
グルタチオンを構成する、イオウ(硫黄:S)を含む-S-Hというチオール基に、さまざまな有害物質が結合され(これをグルタチオン抱合といいます)、細胞外に排出され、血液によって腎臓まで運ばれます。そこで、さらにメルカプツール酸に変換され、尿といっしょに排泄されるわけです。
グルタチオンはイオウが含有されているため、イオウ独特の強い臭いがあります。しかし、解毒を担う肝臓には、他の臓器よりも7倍~10倍ほどのグルタチオンが存在しているといわれています。
また、強力な抗酸化剤としても、際立った性質をもっています。グルタチオンはペルオキシダーゼと共に、細胞障害活性が最も強力なヒロオキシラジカル(•OH)を無害な水に変換させます。グルタチオンは体内でつくられるのですが、それをつくるには十分にミトコンドリアが働かなくてはいけません。ところが、加齢とともに、ミトコンドリアのエネルギー生成能力が低下し、ひいてはグルタチオンの生成も減少し、強力なヒドロオキシラジカルに対処できるほどの量には足らなくなってきます。
肌にとっては、メラニンの生成を阻害するため、グルタチオンは美白に重要な働きをします。そのため、顔の赤み、痒みのサプリメントセットRにも入れています。

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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