体の中にある脂肪には2種類あります。内臓脂肪と、皮下脂肪です。内臓脂肪とは、腸間膜などの内臓周辺に蓄積する脂肪で、おなかの皮膚をつまんでもわかりません。皮下脂肪とは、まさに読んで字のごとく、皮膚の下、特に腰まわり、おしり、太ももなどに蓄積する脂肪で、つまんでわかります。問題は、内臓脂肪です。
これも適度な量は必要で、内臓の位置を正しく保ったり、衝撃を和らげるクッションのような働きをします。しかし、度が過ぎると、過剰な脂肪組織から、腫瘍壊死因子(TNF-α:Tumor Necrosis Factor-α)、PAI-1(Plasminogen Activator Inhibitor-1:プラスミノーゲン活性化抑制因子)、アンギオテンシノーゲンなどを産生させ、インスリン抵抗性を増したり、血栓症をおこしたりして、Ⅱ型糖尿病、動脈硬化、高血圧などをひきおこします。 いわゆるメタボリックシンドロームです。
こと、高血圧に関しては、過剰な内臓脂肪から分泌される、アンギオテンシノーゲンが災いします。この血漿タンパク質は、腎臓が分泌するレニンというタンパク質分解酵素により分解され、アンギオテンシンⅠを生成し、それはさらにアンギオテンシン変換酵素によって、アンギオテンシンⅡに変換されます。このアンギオテンシンⅡが副腎皮質球状層にある受容体に結合すると、副腎皮質でのアルドステロンの合成と分泌が促進されます。アルドステロンはホルモンの一種で、腎臓の集合管でのナトリウムの再吸収を促進させます。ナトリウムが増えるということは、いいかえれば、医者がしつこく注意する「食塩の摂り過ぎ」と、同じ状態になるということです。あるいは二次性高血圧をもたらす原発性アルドステロン症(後述)と原理的には同じです。
簡単にまとめると、次のようになります。
過剰な内臓脂肪 → アンギオテンシノーゲン↑ → アンギオテンシンⅠ → アンギオテンシンⅡ → アルドステロン↑ → ナトリウム再吸収↑ → 血管内(細胞外)のナトリウム↑ → 血管内の浸透圧↑ → 血液中に水分が取り込まれる → 末梢血管の壁にかかる抵抗↑ → 血圧↑
これをレニン‐アンギオテンシン‐アルドステロン系(RAAS)と呼びます。ACE阻害薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬:カプトリル、レニベース、セタブリル、アデカット、インヒベース、コバシル、コナン、タナトリルなど)、ARB(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬:ブロプレス、ディオバン、オルメテックなど)の二つの降圧剤は、このRAASに作用し、降圧作用を示すのです。
さらに、アンギオテンシンⅡから、アミノペプチダーゼの作用によってアンギオテンシンⅢが生成され、それは、脳下垂体後葉からのバソプレッシンというホルモンの分泌を促進させます。このホルモンは、水分の再吸収を促進、血管収縮作用によって、血圧を上昇させます。
以上、説明が長くなり、少し専門的になってしまいましたが、要するに、内臓脂肪が増えれば増えるほど、アンギオテンシノーゲンが多く生成され、上記のメカニズムによって、血圧が上昇するということです。つまり、肥満が高血圧を招く一つの理由が、このRAASの賦活なのです。
そこで、特に内臓脂肪を減らすことが、降圧に必要となってきます。それにはアディポネクチンという一種の善玉ホルモンを増やすことが非常に役にたちます。このホルモンは脂肪細胞から分泌されて、ミトコンドリアを活性化し、特に内臓脂肪を減らしてくれます。
また、アディポネクチンそれ自体に血管の弾力性維持作用もあります。高血圧と診断された人の多くは、アディポネクチンの血中濃度は低いということです。
ところが、アディポネクチンそのもののサプリメントは、今のところ存在しません。しかし、それを増やしてくれる植物が日本にはあるのです。それがアシタバです。
この植物は日本特有の植物で、数百年の昔から伊豆諸島で食用とされてきたもので、現在でもそこの島々ではさかんに食べられています。その樹液には、特にキサントアンゲロールと4-ヒドロキシデリシンの二つのフラボノイド成分(カルコン)が多く含まれており、それらはアディポネクチンを増やしてくれるのです。
著作権に関する表示:当ウェブサイト内のすべてのコンテンツ(記事/画像等)の無断転載及び無断転用(コンテンツを無断流用した改変の掲載も含む)は固くお断り致します。