この赤い酸っぱい実は、主に循環器系の疾病の予防と治療のすぐれた薬効のために、昔から世界中で愛されてきました。およそ2000年前に書かれたとされる「神農本草経」には、多量に長期に服用しても副作用がなく、不老長寿の効果がある「上薬」に分類されています。
優れた強心作用効果をもつサンザシは、特に心臓病の多い現代アメリカでは、サプリメントとして頻繁に使われています。英語では“Hawthorn”と綴りますので、それで検索してください。「Hawthorn Supplement」で検索されると、手ごろな価格のものが、いくらでも見つけられます。
日本人にもなじみが深く、北原白秋作詞、山田幸作作曲の「この道」にも、『あの雲もいつか見た雲、 ああそうだよ、山査子(さんざし)の枝も垂れてる』と歌われています。日本では濃縮ジュースとして、よく売られているようです。
サンザシは、ケルセチン、クロロゲン酸、カテキン、アントシアニジン、プロアントシアニジン、タンニン、サポニン、ビタミンCなどを多く含み、血管拡張、降圧、強心、視機能の向上、抗菌、血糖値上昇の抑制、肝機能の改善作用があります。また、植物としては珍しくクラテゴール酸(マスリン酸)が含まれており、そのため胃液分泌が促進され、消化機能を高めてくれます。ちなみに、クラテゴール酸は、サンザシの学名、Crataegus cuneataから来ています。
特に血小板凝集抑制作用がありますから、血栓症の予防にもなります。
<参考リンク>:Evaluation of the antithrombotic effects of Crataegus monogyna and Crataegus davisii in the carrageen-induced tail thrombosis model.(英文)
また、コレステロールも下げてくれ、かつ血糖値も下げてくれる作用があります。
<参考リンク>:Hypoglycemic effect of hawthorn in type II diabetes mellitus rat model(英文)
さらに、最近では、アルツハイマー病や他の認知症にも、サンザシに効果があるする研究が数多く発表されてきています。
* ジゴキシンやワルファリンを服用しているときは、サンザシのサプリメントやジュースは摂らないようにしてください。また、胃酸過多や逆流性食道炎の人は、クラテゴール酸のために症状がひどくなる可能性がありますので、十分に注意して下さい。
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