このオイルは中近東で、健康増進のために非常によく飲まれているオイルです。原料となるクミンはエジプトなどを原産とするセリ科の一年草で、和名はウマゼリ(馬芹)です。その種子から抽出したオイルで、「死以外は、何にでも効く」とまで重宝がれており、古代エジプト第18王朝ツタンカーメンの時代(紀元前14世紀)にさえ、使われていた痕跡があります。
「医学典範」なる医書を書いた、今からおよそ1000年前のイスラムの名医アヴィセンナ(イブン・スィーナー)は「このオイルは人体のエネルギーを刺激し、疲労を回復させ、体を浄化し、解毒させる。呼吸器、皮膚、発熱、傷、寄生虫、頭痛、などさまざまな病気の治癒を促進させる」と、述べています。いわば、アラビアン・ナイトの万能薬です。
アヴィセンナの時代のイスラム世界は、こと医学においては非常に進んでおり、アルコールの起源はアラビア語です。また、アルカリは、「植物の灰」を意味するアラビア語 al-qalwī から来ています。
このオイルの際立った特徴は、チモキノン(Thymoquinone:TQ)という物質を含んでいることです。これが先に述べた、魚油、クリルオイル、フラックスシードオイル、エゴマオイル、サチャインチオイルなどと違っている点です。
TQにはさまざまな効果がありますが、こと高血圧には、ヘム酸素添加酵素1の活性を上げ、血漿中の一酸化窒素(NO)の消失を防ぎ、また、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系を抑制することによって、降圧作用を示します。
*Mechanisms of the antihypertensive effects of Nigella sativa oil in L-NAME-induced hypertensive rats
<参考リンク>:http://www.scielo.br/scielo.php?pid=S1807-59322015001100751&script=sci_arttext(英文)
また、TQ にはアルツハイマー病において、アミロイドβの神経細胞毒性から脳神経を保護する効果があります。
<参考リンク>:https://www.teu.ac.jp/press/2013.html?id=300(英文)
それとTHQ (Thymohydroquinone)も含まれており、これはアセチルコリンエステラーゼ阻害作用があり、この点からも認知症の予防になります。また、タイムオイル(Thymol)も含有されていますので、ホルモンのバランスもとってくれます。
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