サケやイクラのあの赤みを出している物質だといえばおわかりになるでしょう。ヘマトコッカスなる藻類に多く含まれている 赤いカロテノイドで、食物連鎖によって、藻類 → プランクトン→ オキアミ、サクラエビ → サケ、マスと取り込まれていきます。オキアミについては、最初のオメガ3不飽和脂肪酸のところをお読みください。
昔はオキアミから抽出していたのですが、ヘマトコッカスを大量に人工培養できるようになってから、安価なアスタキサンチのサプリメントが市場に出回るようになりました。その抗酸化作用はビタミンEの500~1000倍といわれています。とりわけ酸素が紫外線や放射線に反応してできる活性酸素である 「一重項酸素1O2 」の除去能力に優れています。
私は一度、目もくらむような紫外線がさんさんと降り注ぐハワイ島にある工場を見学に行ったことがあります。ホノルルがあるオアフ島より、ハワイ島の方が紫外線ははるかにきついようです。その紫外線によって生じた一重項酸素を消去するためにヘマトコッカスは大量のアスタキサンチを生産するのでしょう。それを利用するわけですが、最近は酵母の一種、ファフィア酵母由来のアスタキサンチもできています。今のところ、ほとんどのアスタキサンチのサプリメントはヘマトコッカス由来です。
特筆すべきことは、アスタキサンチンは血液脳関門、および血液網膜関門を通り抜け、脳の中に存在する神経や網膜に直接に達することができるということです(血液脳関門とは、最も大切な脳に不必要な物質が入り込まないように脳の毛細血管にはりめぐらされたフィルター機能と解釈して下さい。解剖学的に肉眼で見えるようなバリアーは存在しません。 血液網膜関門は、血液脳関門と同じような機能で、網膜を守っています)。ですからアルツハイマー病などの予防にもすすめています。
アスタキサンチンも内皮細胞でのNO発生を容易にして、血管を拡張し、血圧を下げてくれます。オメガ3不飽和脂肪酸であるDHAやEPAを摂るさいには、それらオメガ3不飽和脂肪酸の酸化を防ぐためにも、ぜひ一緒に摂ってください。善玉コレステロール(HDL)を増やす作用も認められています。
* β-クリプトキサンチン : 黄色いカロテノイド
ミカン、その中でもウンシュウミカンに多く含まれる抗酸化物質です。アスタキサンチンが赤い色をしているのに対し、これは黄色です。
肝機能、インスリン抵抗性、骨粗鬆症、メタボリックシンドロームなどを改善してくれる他、動脈硬化も予防し、ひいては高血圧も改善してくれます。血中β-クリプトキサンチンレベルが高い人は、動脈硬化の発症リスクが約45%低下します*。ウンシュウミカンの皮がインターネットで、たやすく入手できます。
* (High β-carotene and β-cryptoxanthin are associated with low pulse wave velocity Atherosclerosis Volume 184, Issue 2, February 2006, Pages 363-369)
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