「たった2分の運動でも大切!!」と私がいっているのではなく、心・血管病大国アメリカの心臓協会(AHA)年次集会2018年11月10~12日で発表されたのです。Journal of the American Medical Association(JAMA)」11月12日オンライン版に載っています。運動は10分以上続けるよう、アメリカの身体活動ガイドラインではすすめられていたのですが、最も新しいガイドラインでは、たった2分の歩行ですら、健康に役立つとしたのです。徹底した車社会のアメリカでは、人はほとんど歩かないので、AHAはこのような極端な警告を発したのです。

運動は血圧を下げるには非常に重要です。20分以上、ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を続けると、血中の一酸化窒素(NO)が増えてきます。つまり、アルギニンやテーブルビートのところで説明したNOです。 特に、第二の心臓ともよばれている、ふくらはぎは重要です。脚を鍛えることは高血圧対策になるのです。普通の歩行でも、かかとから地面につけるような感覚で、腰から足をだすという気持ちで歩いてください(必ず背筋を伸ばし、あごを引いてください)。
スキップ運動を朝、昼、晩、10分ずつ、あるいは縄跳びも良いでしょう。

しかし、有酸素運動だけが役立つわけではありません。筋力トレーニングなどのレジスタンス運動にも効果があります。週に1〜3回、
または60分未満のレジスタンス運動を行った人では、全く行わなかった人と比べて、心・血管系の病気の発生率が40〜70%も低いのです。
*「Medicine & Science in Sports & Exercise」10月29日オンライン版
しかし、やり過ぎも危険です。週に130〜140分を超えると、かえって、死亡率があがります。
* [Muscle-strengthening activities are associated with lower risk and mortality in major non-communicable diseases: a systematic review and meta-analysis of cohort studies] Br J Sports Med 2022 Feb 28;

筋トレといっても、ムキムキ・キン肉マンでなくても、写真の女性のような軽いダンベル運動でも良いのです。むしろ、無理な筋トレは止めてください。ジムでウエイトリフティングなどは危険です。瞬間的に過大な力をかけて、脳の血管が破れてしまい、半身不随になり、しかも言語障害まで残った患者さんを身近に見ています。

筋肉トレーニングの一種、「タオル握り」も血管内皮細胞からのNO産生を増してくれます。フェイスタオルをくるくると巻いて棒状にして、それを強く握るのです。「右手で2分 → 1分休憩 → 左手で2分 → 1分休憩 → 右手で2分 →1分休憩 → 左手で2分」。所要時間11分。これだけです。この簡単な運動専用の器具が売られています。「タオルグリップ運動」で検索してください。力の入れ加減をうまく調整しながら軽度の筋トレができるものを選んでください。

世間にはさまざまなウォーキング、ジョギング、筋トレの指南書が出回っています。すべてのやり方に一理ありますが、複雑な運動プログラムにこだわらなくてもけっこうです。各自にできる範囲で行ってください。要は、「たった2分の運動」でも良いのです。つまり、運動しないことは、喫煙と同じほど、危険なのです。

* また、「合谷」という鍼灸のツボを刺激して、血圧を下げる方法もあります。それについては、「合谷 YouTube」で検索してください。

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