コレステロールと動脈硬化予防のためのサプリメント
コレステロールを気にされるおおかたの読者は、ここまでお読みになると、スタチンに代わる自然なサプリメントを試してみたいと思われるかもしれません。今から列挙しますが、これらは医薬品ではありませんから、効果がでるまで時間がかかります。3ヵ月は試されて、それで少しも改善されていなければ、それはあなたにとっては意味のないサプリメントだったということですので、お止めになってください。そして、別のサプリメントを試してください。
また、家族性高脂血症の方は、サプリメントに頼ってはいけません。必ず、医師が処方する医薬品をお摂りください。また、糖尿病、かなりの肥満、ひどい高血圧、その他特殊な病気が合併しているときも、スタチンやエゼチミブなどの医薬品が必要になるかもしれませんので、主治医と相談してください。
*「現在、服用中のスタチンと、一緒に摂ってもよいでしょうか?」という質問が、よくあります。たいていのサプリメントと一緒にお摂りになってもかまわないですが、紅麹とは一緒に摂らないほうがよいです。作用機序が同じですから。また、ベルガモットもスタチンの作用機序と似ているところがありますから、一緒に摂らないほうが無難です。
*グレープフルーツジュースに含まれているフラノクマリンは、腸での CYP3Aという酵素の作用を阻害します。すると、本来、吸収されるべき量以上に、スタチンが吸収されてしまいます。特にアトルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンとは、一緒に摂らない方が無難です。
*スタチンは朝か夕、どちらに摂るべきかは種類によります。はやく代謝され、排泄されるスタチン(フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン)は、夕刻に摂るほうが良いです。アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンはゆっくりと作用しますから、いつとってもさしてかわりはありません。
*ロバスタチンは食事とともに、プラバスタチンは空腹時に摂ってください。それの方が吸収率は良いのです。その他のスタチンはどちらでも変わりなしです。
*また、スタチンは急に止めてはいけません。今日から止めるというようなことをなさってはいけません。一種のリバウンドがおこり、心・血管系に悪影響を及ぼすことがあるからです。止め方は、スタチンの種類、服用期間、年齢、性別、合併症の有無などによって変わりますから、主治医とよく相談してください。もし、主治医が、あなたがスタチンを止めになることに否定的であれば、私に相談してください。
なお、家族性高脂血症の人は、基本的には、スタチンを止めないで摂り続けるべきです。
*何らかの医薬品やサプリメントを現在服用中の人、これから妊娠を希望する女性、妊婦、授乳中の女性は下記のサプリメントをお摂りになる場合は、必ず医師と相談してください。
a)紅麹(ベニコウジ)
抗高脂血症剤スタチンに代わるサプリメントといえば、まず、最初にあげられるのが、この紅麹です。紅麹はモナスカス属の糸状菌で麹菌の一種で、古代の中国では健胃薬として用いられていました。そのころ、コレステロールという物質の概念がまったくありませんでしたから、漢方では胃の働きを強化するために処方されたようです。
薬学書の「本草綱目」にも記載されています。その効能は消化を助け、血の巡りを良くし、内臓を強くして胃を爽やかにするとされています。
1980年代になって、紅麹に含まれているモナコリンKが、肝臓でのコレステロール合成を阻害することが発見されました。(これは日本人研究者の功績です)。モナコリンKはスタチンの一種であるロバスタチンと同じ構造をしているのです。
また、紅麹はモナコリン以外に、後述するβ-シトステロールも多く含んでおり、それらの相乗効果によって脂質異常の改善をもたらしてくれると考えられます。
それと、紅麹にはGABAが含まれており、これは血圧を下げる作用があります。
したがって、高血圧と高脂血症が合併した例(中年以降にはしばしばみられる病態)には非常に有用なサプリメントといえるでしょう。
しかし、私は基本的には患者さんにはあまりすすめていません。なぜなら、作用機序がロバスタチンとほぼ同じで、HMG-CoA還元酵素を阻害するのであれば、とうぜんCoQ10の生成が邪魔され、またアラキドン酸が不必要に増える可能性があるからです。ですから、紅麹を摂るときは、CoQ10やエゴマオイルなども必ず補ってください。医薬品に近いサプリメントと考えたほうがよさそうです。もっとも、それだけ効果があるということですが。
*小林製薬株式会社は自社の「紅麹コレステヘルプ」によって腎障害をおこした消費者が報告されたことから、令和6年3月22日に自主回収することを発表しました。これは紅麹の主要成分モナコリンKそのもののせいではなく、製造過程において、何か意図しない成分が混入したためであろうということです。
しかし、何らかの未知なる物質の混入のせいだけでなく、医薬品に近いほどのサプリメントを、無思慮に服用したことも被害をひどくした要因の一つになっているのかもしれません。
LDL-コレステロールがかなり高く、他のサプリメントではなかなか下がらない場合、一時的に紅麹を使い、LDL-コレステロールが基準値以内におさまると、すぐに他のサプリメントに代えて、コントロールするという使い方が無難だと考えられます。
Cholesterol-lowering effects of a proprietary Chinese red-yeast-rice dietary supplement http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9989685
紅麴と、次に述べるポリコサノールとを組み合わせて、家族性高脂血症の子供に投与した治験です。
The treatment of hypercholesterolemic children: efficacy and safety of a combination of red yeast rice extract and policosanols
b) ポリコサノール
これはサトウキビの葉や茎のワックスからとれた物質で、特にLDL-コレステロールを下げるといわれています。キューバはサトウキビで有名ですから、キューバの研究者たちが多くの論文を書いています。また、代替療法の本では、ポリコサノールは脂質異常に対する安全なスーパースター的サプリメントのようなあつかいをされていることがあります。
ただ、問題は非常に効果ありとする論文と、まったく効果なしという論文に二つに分かれることです。
たとえば、アメリカのノースカロライナ州の研究者たちによると、ポリコサノールはまったく効果なしと結論づけています。
Policosanol is ineffective in the treatment of hypercholesterolemia: a randomized controlled trial
https://academic.oup.com/ajcn/article/84/6/1543/4649250
かたや、ハバナ(キューバの首都)研究者たちの最近(2020年4月)の論文。
Effects of Policosanol in Patients With Metabolic Syndrome: A Six-Month Study
https://www.jofem.org/index.php/jofem/article/view/642/284284446
この論文では、メタボリックシンドロームの高脂血症には、ポリコサノールは素晴らしい効果ありとしています。
数は少ないのですが、私の患者さんの体験も二つに分かれます。なぜ、両極端に分かれるのでしょうか?それは、7割ほどの製品が十分なポリコサノールを含んでいない粗悪品であるということらしいのです。
ハバナの研究者たちは自国の経済を支えているサトウキビからつくるポリコサノールは最高の品質を使ったはずです。しかし、アメリカの研究者たちは経費削減のために、安い粗悪品を使った可能性があるかもしれません。
もっとも、アメリカの研究者たちの中にも、植物性ステロールよりもポリコサノールは効果ありという研究発表をしている人たちがいます。これはポリコサノールの名誉のために付記しておきます。
Meta‐Analysis of Natural Therapies for Hyperlipidemia: Plant Sterols and Stanols versus Policosanol
https://accpjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1592/phco.25.2.171.56942
いずれにせよ、ポリコサノールによる副作用は、高品質であろうが粗悪品であろうが、ほとんどありませんから、試してみる価値はあるでしょう。しかし、どうやって粗悪品を買わないようにするか? 日本製のポリコサノールはありませんので、インターネットで外国製のポリコサノールを買うことになりますので、その際、いちおう名のとおっているメーカーで、あまり安価なものを購入しないようにすることでしょう。
c) β-シトステロール (β-sitosterol)
フィトステロールは植物の細胞膜を構成している脂質の一種で、40以上ありますが、その中でも特にβ-シトステロールが生活習慣病を防ぐ作用を強くもっています。図を見ておわかりのように、コレステロールと非常に似た構造をしているため、小腸でのコレステロールの吸収と競合して、コレステロールの吸収を阻害します。
コレステロールを下げる効果を得るにはβ-シトステロールは1000mg/日が必要といわれています。しかし、野菜や果物を良く食べる人でさえ、日にせいぜい500 mgも摂取できていません。したがって、サプリメントから補うことになります。脂溶性のビタミン、例えばビタミンA、D、E、Kなどと一緒に摂ると、それらのビタミンの吸収が邪魔されることがありますから、3時間あけて摂ってください。
また、β-シトステロールは前立腺肥大にも効果があります。前立腺肥大のための数多くのサプリメントにはβ-シトステロールが含まれています。
d) タウリン
また、タウリンはcholesterol 7-hydrooxylase という酵素を活性化させ、コレステロールの代謝を促進します。つまり、タウリンはコレステロール代謝促進と胆汁酸排泄促進の二つ作用によってコレステロールを低下させてくれます。
また、いわゆる悪玉LDL-コレステロールの酸化をタウリンは防いでくれます。酸化されたLDL-コレステロールを貪食するマクロファージと、血管平滑筋細胞は動脈硬化巣の主要な構成成分です。血管障害がおこると繊維芽細胞成長因子や血小板由来成長因子などが産生されます。その刺激により平滑筋細胞は形質変換し血管内膜へ遊走し、増殖し、マクロファージとともに泡沫化細胞を形成し、動脈硬化の一つの原因となります。
喫煙は血管の内皮機能を低下させますが、タウリンはビタミンC以上に効果的に、機能低下を抑制するといわれています。どうしてもタバコをやめられない人は、積極的にタウリンを摂られたら良いでしょう。
血圧を下げる作用もありますから、中年以降に多い、<高血圧+高脂血症>の病態にもすすめられます。「血圧を下げるサプリメント」の「タウリン」のページも参考にしてください。
また、目の網膜には多数の光受容体が存在し、その受容体にはタウリンが含まれており、網膜を守る働きをしています。また、角膜の修復を助ける役目もあります。
タウリンを多く含む食材はカキ、イカ、タコなどの魚介類です。しかし、焼くと3割り、煮ると5割が壊れてしまいます。毎日、生ガキや、イカやタコの刺身を食べるわけにはいけませんから、サプリメントから摂取するのが現実的です。日に1000mgほどで良いでしょう。
*ネコはタウリンを合成する酵素をもっていませんので、外から補ってあげないと、タウリン不足になり、拡張型心筋症をおこすことがあります。そのため、ネコ用のペットフードにはタウリンが入っています。
Prevention of hypercholesterolemia and atherosclerosis in the hyperlipidemia- and atherosclerosis-prone Japanese (LAP) quail by taurine supplementation
e)トコトリエノール
ビタミンEは8種類あります。大きく二つに分けて、トコフェロールとトコトリエノール。さらにおのおのが、下図のR1、R2、R3に着くメチル基(CH3)によって、α, β, γ, δ の4つに分類されます。
ビタミンEとしてよく知られているのはトコフェロールの方で、特にα-トコフェロールが最も強い活性を有し、抗酸化サプリメントとして広く使われています。このトコフェロールの炭化水素鎖の部分に多数の二重結合部分を持つのがトコトリエノールで、細胞の中では、トコフェロールよりも50倍の抗酸化作用を示します。
トコトリエノール
トコフェロール
トコトリエノールの中でも、デルタ・トコトリエノールに抗高脂血症作用が強いのです。
トコトリエノールは米油などに多く含まれていますが、コレステロールを下げるだけ十分に摂取するにはサプリメントからが現実的です。
わずか2週間の摂取で効果があらわれ、30日で、LDL-コレステロールは15~20%下がるといわれています。また、中性脂肪も下げてくれます。
トコトリエノールはコレステロールレベルを下げる作用以外に、抗がん作用もありますから、今後さらに使われるようになるでしょう。
f) シリマリン
シリマリンは、キク科の植物ミルクシスルの種子に多く含まれている、シリビニン、イソシリビニン、シリクリスチンなどのフラボノリグナンの混合物です。その中でも最も生物活性の高いのが、シリビニンです。
この植物の葉には、ミルクがこぼれたように白いまだら模様があります。そのため、ミルクシスル(シスルはアザミ)と呼ばれ、また、ミルクを聖母マリアに由来するものとして「マリアアザミ」ともいわれます。薄い紅紫色の花が咲きます。和名はオオアザミです。
ミルクシスルは肝臓でのコレステロール産生を抑制するため、ミルクシスルの摂取によって胆汁中のコレステロールのレベルが低下することが報告されています。
ミルクシスルの種子は、ヨーロッパではローマ時代から肝臓の健康のためのサプリメントとして伝統的に処方されてきました。コレステロールは肝臓で生成されますので、肝機能を整えることは、コレステロールの適切な代謝につながります。
ラットを使った実験ですが、総コレステロール、LDL、VLDL(超低比重リポタンパク)、中性脂肪を減らし、HDLを増やします。また、スタチンの一種、ロスバスタチン(クレストール)と一緒に摂ると、ロスバスタチンの量を減らすことができ、かつ、スタチンによる血糖の上昇も緩和することができます。
また、ミルクシスルの種子のコールドプレスで得られたオイルにも、脂質異常の改善効果が見出されています。
Effect of Chemical Properties of Milk Thistle Seed Oil on Serum Lipid Profile and Antioxidants Capacity in Rats Fed High Cholesterol and Cholesterol Free Diets
https://scialert.net/abstract/?doi=pjn.2014.600.609
特に脂肪肝と指摘され、かつ、脂質異常が合併している人には(この数は非常に多い)、ほとんど第一選択のサプリメントといってもよいくらいです。非アルコール性脂肪性肝(NAFLD)の人が2000万人、つまり人口のおよそ15%の時代、ミルクシスルの価値はますます高まりそうです。
肝機能、脂質異常の改善のみならず、ミルクシスルはインスリン抵抗性も改善してくれる作用が認められています。その他、胸やけ、シワの改善、セレンと一緒に摂ると前立腺肥大が解消されるという報告もあります。胆石の予防にも良いでしょう。
また、非常に大切な抗酸化物質であるグルタチオンを、シリマリンは、体内で自然に増やす作用もあります。
シリマリンが70~80%含まれているサプリメントを選び、それを300~900mg /日摂ってください
g) ベルベリン
ベルベリンはキハダ(ミカン科)やオウレン(キンポウゲ科)などの植物に含まれるアルカロイドの1種で、PCSK9 (前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9:proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)という酵素をブロックする働きがあります。これによって、コレステロールが下がるのです。
PCSK9は肝臓で産生され、肝細胞表面のLDL受容体をリソソームに送り分解します。LDL受容体は血流のLDLを捕捉して肝細胞内に取り込み代謝します。ベルベリンは、このPCSK9の働きを阻害し、LDL受容体の分解を妨げ、結果的にLDLの異化を促進し、血中LDL粒子濃度が下がるのです。
エボロクマブ(商品名レパーサ)という医薬品があります。スタチンだけではコレステロールが下がらない場合、あるいはスタチンの副作用に耐えられない人のために、2015年ごろから使い始められています。これは、PCSK9に対するモノクローナル抗体で、PCSK9に結合して、PCSK9とLDL受容体との結合を阻害し、結果的にLDLを低下させます。しかし、生物製剤ですから、非常に高価で、しかも副作用の危険性が常にあります。2015年当初、米国では年間14000ドル(150万円前後)で、これは高すぎるということで民間の保険会社が支払いを拒否したケースもあったようです。日本での薬価は140mgシリンジ / 24565円で、140 mg を 2週間に 1 回又は 420 mg を 4 週間に1 回皮下投与します。したがって、年間50~90万円になります。
しかし、エボロクマブと似たような働きをするベルベリンは一ヵ月分が2000~4000円です。キハダを主成分とする黄柏という漢方薬にもベルベリンは含まれており、これはオンラインで簡単に安価で購入できます。もっとも、ベルベリンとエボロクマブと比べるとコレステロール降下作用はベルベリンの方が弱いと推測されますが、なにぶん、ベルベリンとエボロクマブを比較した治験は行われておらず、優劣は比較できません。
また、ベルベリンには、小腸での脂肪の吸収をフィトステロールと似たような作用によってブロックしていると考えられています。
腸内の悪玉菌を減らす作用もあります。
ベルベリンは血糖値を下げることで有名で、糖尿病の医薬品であるメトホルミンとの対比に、ベルベリンがよく引き合いにだされます。また、アディポネクチン、レプチンというホルモンの分泌を整え、メタボリックシンドロームの予防にも効果がります。
今後、ベルベリンはさらに使われるようになるはずです。
Metabolic effect of berberine–silymarin association: A meta‐analysis of randomized, double‐blind, placebo‐controlled clinical trials
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ptr.6282
h) ベルガモット
ベルガモットはイタリア南部カラブリア地方原産の柑橘類で、シトロン、ブンタン、マンダリンオレンジの三つの交雑種です。アロマに詳しい人はご存じですが、果皮から抽出される精油が、ストレス、不安、不眠などの改善、また冷え性にも使われます。しかし、ベルガモットが総コレステロール、LDL-コレステロールを下げることはあまり知られていません。
ベルガモットはさまざまなポリフェノールを含有していますが、その中でもブルティエリジン、メリチジン、ネオヘスペリジン、ナリンギンなどのフラバノン配糖体は重要です。
これらのフラボノイドはAMPK (adenosine monophosphate-activated protein kinase) を活性化し、またpCEH (Pancreatic cholesterol ester hydrolase)の作用を邪魔します。pCEHはステロールエステルのステロールと脂肪酸への加水分解を触媒します。したがって、この酵素の働きを弱めると高脂血症の改善に役立ちます。
また、ベルガモットのフラバノンである、特にネオヘスペリジン、ナリンギンはスタチンと類似した作用をするといわれています。ベルガモットのジュースは日本では手にはいりませんが、有効成分のサプリメントはインターネットで簡単に購入できます。
グレープフルーツジュースと同様、ベルガモットにはシトクロームP450の活性を阻害する作用がありますので、薬品を摂る際には、飲み合わせには十分気をつけてください。
ベルガモットは、健康食ともてはやされる「地中海ダイエット」の一環を担っているのかもしれません。原産地カラブリア地方はまさに地中海のほぼ真ん中に位置していますから。
Clinical application of bergamot (Citrus bergamia) for reducing high cholesterol and cardiovascular disease markers
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6497409/#R23
On the inhibitor effects of bergamot juice flavonoids binding to the 3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA reductase (HMGR) enzyme
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20843083/
Statin-like principles of bergamot fruit (Citrus bergamia): isolation of 3-hydroxymethylglutaryl flavonoid glycosides
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19572741/
i) ノビレチン
柑橘類(特にシークヮーサーやポンカン)の果皮に多く含まれるフラボノイドの一種で、フラボンの水酸基(-OH)うち6つがメトキシ基(-OCH3)に置換された、ポリメトキシフラボノイドのひとつです。ポンカンやシークヮーサーに多く含まれています(ふつうの温州ミカンはあまり多く含んでいません)。
ノビレチンがマーマレードや漢方薬の陳皮に豊富に含有されていることを知らずに、昔から人々は摂っていたと考えられます。最近になって、ノビレチンが特にアルツハイマー病、糖尿病、メタボリックシンドロームなどに効果があると確認され、注目されるようになってきました。また、抗がん作用、抗アレルギー作用、肝炎抑制作用、皮膚炎抑制作用も認められています。
こと、脂質に関してはラットを使った実験ですが、ノビレチンはアポリポプロテインA Iを増やしてくれます。つまり、ApoB/ApoA Iを下げ、心・血管系病変のリスクを下げてくれます。
Effect of Nobiletin on Lipid Metabolism in Rats
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhs/56/6/56_6_705/_pdf
柑橘類のフラボノイドのであるナリンゲニン(グレープフルーツ)、ヘスペリジン(オレンジ)、タンゲレチン(ミカン)、ノビレチン(ミカン)の中で、動脈硬化予防するのに最も強く働くのはノビレチンです。マクロファージが動脈壁で泡沫細胞の形成を阻止する作用があるからです。
Nobiletin, a citrus flavonoid isolated from tangerines, selectively inhibits class A scavenger receptor-mediated metabolism of acetylated LDL by mouse macrophages
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15585197/
また、ノビレチンには脂肪細胞からアディポネクチンの分泌を促す作用があります。それによっての、血糖値低下、血圧降下、抗肥満作用もあります。
The role of adiponectin in cholesterol efflux and HDL biogenesis and metabolism
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0026049519301568
沖縄の北部に位置する大宜味村はシークヮーサーの栽培で有名です。また、そこは「長寿の里」とも呼ばれ、1993年には「長寿の村日本一」を宣言しました。おそらく、シークヮーサーに多く含まれているノビレチンが村人たちの健康に多いに寄与しているのでしょう。
ノビレチンは脂質異常を改善してくれるだけでなく、アルツハイマー病にも非常に効果的です。
Nobiletin Reduces Intracellular and Extracellular β-Amyloid in iPS Cell-Derived Alzheimer’s Disease Model Neurons
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bpb/41/4/41_b17-00364/_pdf/-char/ja
また、後述するDHAといっしょに摂ると、神経細胞の活性化作用が高まります。
j) ヘスペリジン
へスペリジンは、温州みかんなど柑橘類の果実の皮や袋から抽出される、ポリフェノールの一種です。特に中果皮に多く含まれています。
語源が面白く、ギリシア神話のニュンペー・ヘスペリデスから名付けられと言われています。ニュンペーとは、山や河、森や谷にやどり、それらを守っている精霊で、歌と踊りを好む若くて美しい女性の姿をしているとされています。
英語のnymph(妖精) は古代ギリシア語のΝύμφη由来です。ヘスペリデスとはギリシア神話で世界の西の果てに住む妖精という意味だそうです。つまり、このポリフェノールのフラバノンであるヘスペリジンは、美しい妖精のような神秘的な薬効をもっているということなのです。
まさに、そのとおりで、脂質代謝・血流循環・骨代謝を改善、血圧上昇を抑制、ビタミンCの消耗抑制、抗アレルギー作用などを有します。しかし、へスペリジンは非常に水に溶けにくく、100mlの水に2mgしか溶けません。その難点を日本の企業が、サイクロデキストリン酵素を使って、へスペリジンに糖を結合させることによって解決しました。これを糖転移ヘスペリジン(モノグルコシルヘスペリジン)と呼び、水への溶解性が10万倍に高まり、そのため腸でのヘスペリジンの吸収が3倍にまで上がりました。
こと、脂質代謝に関する研究では、数は25人と少ないのですが、実際にヒトに糖転移ヘスペリジンを24週間服用させた治験によると、中性脂肪が150mg/dl以上の被験者(つまり、高TG血症)では下がっています。しかし、ボーダーラインか正常な被験者では変化がありません。
この作用は、糖転移ヘスペリジンがVLDL(超低比重リポタンパク)を優先的に下げることによるものと解釈されています。(VLDLの55%が中性脂肪で、LDLでは10%、HDLでは5%にすぎません)。また、血清中のアポリポプロテインB(apoB)を下げ、ApoB/ApoA Iが下がり、心・血管系の病気のリスクが低下します。前述したノビレチンはApoA Iを増やしますから、ヘスペリジンと一緒に摂るとApoB↓ApoA I↑の相乗効果によってApoB/ApoA Iがよりいっそう低くなり、さらに良い効果がえられそうです。
Glucosyl Hesperidin Lowers Serum Triglyceride Level in Hypertriglyceridemic Subjects through the Improvement of Very Low-Density Lipoprotein Metabolic Abnormality https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnsv1973/51/6/51_6_460/_pdf
Suppression of apolipoprotein B secretion from HepG2 cells by glucosyl hesperidin
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16967768/
さらに、際立った作用として、ヘスペリジンの摂取は、カルシウムの吸収を促進させ骨梁の減少を防ぎます。また、破骨細胞の数を減らします。したがって、骨粗鬆症の予防にも効果的なのです。
Hesperidin, a citrus flavonoid, inhibits bone loss and decreases serum and hepatic lipids in ovariectomized mice
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12771335/#affiliation-1
k) パントテン酸
ビタミンB群の一つで、5番目に発見されたので、ビタミンB5とも呼ばれます。1940年には化学的に合成されるようになりました。いろいろな種類の食物に含まれており、また腸内細菌が人体内でつくってくれるので、ビタミン剤から補給することは不必要であるとされていますが、高脂血症の予防のために積極的に補給して悪いという理由はありません。
B5はコエンザイムAという補酵素の構成成分で、100種類以上の酵素の働きを助けます。
また、ビタミンB1とともに糖代謝に必須の役割をはたし、B2とともに脂質代謝にも重要です。中性脂肪を下げ、総コレステロールも下げてくれ、また特にLDL-コレステロールを下げてくれます。
副腎がステロイドホルモンをつくるのに非常に大切なビタミンでもあり、ステロイド剤を必要とする疾患に大量にこのビタミンを投与すると、副作用なしに症状が寛解されます。さらに、このビタミンB5は痛風にも効果的です。
多くの食材に含まれていますが、水に溶けやすく、熱、酸やアルカリに弱いため、調理によって損失しやすいのが特徴です。熱で壊れやすく、食材をゆででると、含有されているパントテン酸の約半分が損なわれます。コーヒーやアルコールはパントテン酸を消費します。したがって、コーヒーを愛飲し、よくお酒を飲まれ、しかもコレステロールの高い人は、積極的にパントテン酸を補うと良いでしょう。
Pantethine reduces plasma cholesterol and the severity of arterial lesions in experimental hypercholesterolemic rabbits
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6442152/
Pantethine, a derivative of vitamin B(5) used as a nutritional supplement, favorably alters low-density lipoprotein cholesterol metabolism in low- to moderate-cardiovascular risk North American subjects: a triple-blinded placebo and diet-controlled investigation
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21925346/
l) レシチン
レシチンは卵黄や大豆などに含まれるリン脂質の一種で、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、およびホスファチジン酸の混合物です。レシチンは卵黄から発見されましたので、その名の由来はギリシア語で卵黄を意味するλέκιθος(レキトス)です。
人体に存在するすべての細胞の細胞膜を構成している主成分の一つです。神経伝達物質のアセチルコリンの材料にもなります。したがって脳には必須の成分で、認知症などの予防にも使われます。また、脂肪肝や肝硬変を改善する効果があるといわれています。そして、肝臓でのコレステロール合成酵素ACAT(アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ)のはたらきを抑制し、LDLコレステロールを減少させます。また、レシチンの乳化作用によって、血中のコレステロールが水に溶け、余分なコレステロールが血管壁に沈着することが防げます。
レシチンは卵黄由来と大豆由来に分類できます。特に大豆レシチンは血中に長くとどまるため、高脂血症や動脈硬化の改善が期待できます。卵黄由来のレシチンはホスファチジルコリンが多く含まれているため、脳や神経機能に良いとされています。しかし、どちらも、レシチンには変わりありません。
したがって、コレステロールが高い人は卵をできるだけひかえるようにというアドバイスは時代遅れです。しかし、一方、卵の黄身にはアラキドン酸が多く含まれていますので、下手に大量にとると、悪性エイコサノイドを増やす結果になります。また、悪性のアミノ酸であるホモシステインのもととなるメチオニンも多く含有されています。そういう意味から食べすぎないほうが無難なようです。毎日1個くらいが適量でしょう。
ホモシステインについての説明はHPに記載がある、「ホモシステイン」をお読みください。
豆乳にはアラキドン酸はほとんど含まれていませんから、レシチンを安全に補うという点からすれば、豆乳が良いと考えられます。ときどき飲まれたら良いでしょう。なぜときどきかいいますと、豆乳には植物性エストロゲンがほんのわずかに含まれていますので、毎日、毎日、飲んでいると、エストロゲン過剰が起こりかねないからです。エストロゲン過剰については、「エストロゲン・ドミナンス」のページをお読みください。
また、最近の研究で、ホスファチジルセリンは消化管内で腸内細菌の酵素トリメチルアミンリアーゼによりトリメチルアミンに代謝され、それが腸管から吸収され、肝臓の酵素によってトリメチルアミ ン N オ キ シド(TMAO)に代謝されることがわかりました。ところが、TMAO の血中濃度が高いほど、心血管イベントが多くなるのです。ですから、ほどほどが大切なのです。
m) SMCS(S-メチルシステインスルホキシド)
ぎょうぎょうしい名前ですが、ブロッコリーやキャベツといったアブラナ科の野菜に多く含まれている天然のアミノ酸です。このアミノ酸は肝臓で、コレステロールを胆汁酸に変える酵素を活性化させます。タウリンがコレステロールを減らすのと同じ理屈です。
SMCSそのもののサプリメントは販売されていませんが、特にブロッコリーやキャベツに多く含まれていますから、それらを多く食べることです。ジュースにして飲まれても良いでしょう。串カツにはキャベツがよく添えられていますが、これは非常に理にかなった食事です。
ただし、アブラナ科の野菜にはゴイトロゲンが多く含まれていますので、甲状腺に問題のある人は十分に気をつけて、摂ってください。「隠れ甲状腺機能低下症」のページを参考にしてください。
もし、ブロッコリーやキャベツといったアブラナ科の野菜を積極的に摂ったにもかかわらず、総コレステロールがかえって高くなってきたというような場合は、ゴイトロゲンによって甲状腺機能低下がおこっているのかもしれません(もっとも、めったに、そういうことはおこりませんが)。甲状腺機能が低下すると、コレステロールは増えます。3~4ヵ月に一度は血液検査をしてください。
n) ルテオリン
このポリフェノールは、ピーマン、ブロッコリー、セロリ、パセリ、シュンギク、エゴマなどに多く含まれるフラボノイドの一つであるフラボンです。
ルテオリンは二つの異なった作用機序でコレステロールを下げてくれます。
①NPC1L1(Niemann–Pick C1-Like 1) というタンパク質が、腸管でのコレステロールの吸収に、重要な役割をはたしています。NPC1L1は、コレステロールやその他の脂質のリソソーム蓄積を特徴とする遺伝性疾患であるニーマンピック病C1型をおこす変異遺伝子のホモログです。このタンパク質の働きを阻止すれば、コレステロールは十分に腸管から吸収されません。エゼチミブ(Ezetimibe)という医薬品は、NPC1L1の作用をブロックすることができます。したがって、抗高脂血症治療薬として認められており、スタチンだけではコレステロールが下がらない患者さん、あるいは、スタチンでは副作用がひどくでる患者さんに与えられます。しかし、野菜や果物に多く含まれているルテオリンにも同じような効果があるのです。
②フラボノイドのフラボンやフラボノールには、核内受容体HNF4α(Hepatocyte nuclear factor 4α)の活性を抑制する作用があります。フラボンの中でも特に肝臓からのVLDLの分泌を調節する遺伝子の発現を制御します。ラットにルテオリンを与えると、コレステロールの減少、脂肪肝の減少、体重の減少がおこることが、実験的に確認されています。
また、ルテオリンは抗酸化物質としてもすぐれており、さらに尿酸値を下げてくれる作用もあります。尿酸値が高い場合、動脈の石灰化がおこりやすく、これは動脈硬化につながります。したがって、ルテオリンはこれから、非常に注目されるポリフェノールなのです。
最近、オメガ3不飽和脂肪酸の重要性がようやく知られるようになり、さまざまな「健康志向型オイル」が、スーパーマーケットでも普通に売られるようになりました。それらの中でも、エゴマオイル(荏胡麻オイル)にはルテオリンが多く含まれていますので、特にすすめられます。
私のクリニックのさまざまなサプリメントセットの中にも、このエゴマオイルを、サプリメントの一つとして、入れています。
o) リコピ
これは、カロテノイドの一種で、トマト、スイカなどに含まれている赤い色素です。カロテノイドは、植物が特に紫外線によって発生する活性酸素から身を守るためにもっている、天然の色素成分です。赤以外にも、黄色(β-カロテン)、褐色(フコキサンチン)などがあります。カロテノイドはカロテンとキサントフィルに分類されますが、リコピンはカロテンに属します。
トマトケッチャップをたっぷり使うスパゲッティー・ナポリタンの国、イタリアの研究者によると、リコピンはHMG-CoA還元酵素の作用を、量依存的に弱めて、コレステロールを減らすということです。
Effect of lycopene and tomato products on cholesterol metabolism
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22965217/#affiliation-1
リコピンには、以上の効果の他、血圧降下、視機能改善、美肌、肥満予防などの作用があります。また、強い抗酸化力によって癌の予防にも役立ちます。特に前立腺癌予防には有効なようです。
リコピンは1日15mgの摂取が望ましく、大きめのトマト約2個分に相当します。しかし、毎日トマトを2個食べるのは現実的ではありませんが、トマトジュースなら1缶(約150 ml)で摂取できます。トマトジュース200mlにエゴマオイルを入れたものは、前立腺の健康にも効果がありますから、毎日、飲まれたら良いでしょう。
イギリスの朝食にベーコンやソーセージと、トマトを一緒に炒めたものがあります。リコピンが脂溶性であることを考えると、栄養学的に非常に理にかなった料理です。
Protective effect of lycopene on serum cholesterol and blood pressure: Meta-analyses of intervention trials
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21163596/
Role of antioxidant lycopene in cancer and heart disease
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11022869/
SMCS(S-メチルシステインスルホキシド)、ルテオリン、リコピンと述べてきました。これでおわかりのように、高脂血症の人には、野菜は非常に重要なのです。
p) DHA/EPA
これらは、オメガ3不飽和脂肪酸の代表です。中性脂肪を下げますが、コレステロールは下げません。しかし、中性脂肪はLDLの中でも特に超悪玉の「小型LDL」を増やしますので、可能なかぎり基準値以内におさめたいものです。
じつにさまざまな製品が市場に出回っています。また医薬品としてクリニックや病院で処方されるもので、ロトリガという製品名のものがあります。これは、血液検査で中性脂肪が高いと検査ででていれば、健康保険が使えます。医師と相談してください。
オメガ3不飽和脂肪酸のサプリメントは食後すぐに摂ってください。食事の刺激によって分泌される膵リパーゼの1種であるコレステロールエステラーゼにより分解されたEPA とDHA が、胆汁酸とともに小腸から吸収されます。つまり、食事による刺激がなければ、せっかく服用したDHA/EPAが十分に吸収されないことになります。
ほとんどのDHA/EPAのサプリメントは魚油からつくられますので、人によって魚油が、お腹をゆるくすることがありますので、注意してください。おならが非常に臭くなると訴える人も、たまにおられます。また、魚油は魚のナマ臭いがし、たまらないという人はけっこうおられます。そういう場合、クリルオイルかタテゴトアザラシの油を試してください。どちらもインターネットで簡単に購入できます。もっとも、クリルオイルも多少ナマ臭いですが。
中性脂肪を下げるだけでなく、血管の弾力性を維持させ、また抗炎症作用ももっていますから、心・血管系の疾病予防には非常に大切なサプリメントです。現在、中性脂肪やコレステロールが基準値以内であっても、健康維持のために摂っておかれるべきでしょう。「必須のオメガ3不飽和脂肪酸」も参考にしてください。
しかし、アスピリンを摂っておられる人は、このサプリメントを摂るべきかどうかは、主治医と相談してください。同時に摂ると、出血傾向を増す可能性があるからです。また、DHA/EPAのサプリメントを摂り始めて、知らないあいだに、青あざができたりすれば、要注意です。
q) ビタミンK2
このビタミンは、コレステロールや中性脂肪を、今まで述べたサプリメントのように下げる作用はありません。しかし、血管の若々しい弾力性をたもつためには非常に重要なビタミンなのです。
ビタミンKは、K1~K5と5種類あります。K2はさらに11種類に分類されますが、総称してメナキノン(menaquinone; MK)と呼びます。MK-4~MK-14と略記され、そのうちMK-4とMK-7が重要です。ヒトの動脈壁、膵臓、精巣などで、ビタミンK1からMK-4に変換されます。
動脈の石灰化と動脈硬化はほぼ同意語です。しかし、動脈の石灰化は、LDL-コレステロール、non-HDLコレステロールの多寡、あるいはApoB/ApoA1比とは関係なくおこることがあります。それには、リンの代謝異常、必要以上のカルシウムサプリメントの摂取、ナノバクテリアの存在、過剰な尿酸、ホモシステインの関与など、さまざまな要因が考えられますが、いずれにせよ、ビタミンK2はカルシウム沈着による動脈の石灰化を防いでくれます。
The relationship between vitamin K and peripheral arterial disease.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0021915016312163
* ワーワリンなどを服用している人は、このビタミンは摂らないでください。
r) マグネシウム
このミネラル自体はコレステロールの多寡とはあまり関係がありませんが、冠動脈の石灰化を防いでくれます。したがって、今まで述べたサプリメントとぜひ一緒にお摂りになるべきです。
下記はマグネシウムの摂取量が1日50mg増えるごとに冠動脈の石灰化が22%、大動脈の石灰化が12%低下するという研究です。
Magnesium Intake Is Inversely Associated With Coronary Artery Calcification: The Framingham Heart Study
https://www.jacc.org/doi/full/10.1016/j.jcmg.2013.10.006